ロームは、SiC-SBDと耐圧1200Vの第2世代SiC-MOSFETを1パッケージ化した「SCH2080KE」を発表した。

現在、1200Vクラスのインバータやコンバータでは、Si-IGBTが一般的に使用されているが、テイル電流や外付けFRDのリカバリによる電力変換損失が大きいため、より低損失で高周波動作が可能なSiC-MOSFETの開発が期待されている。しかし、従来のSiC-MOSFETは、ボディダイオード通電による特性劣化(オン抵抗や順方向電圧の上昇/耐性劣化)やゲート酸化膜の故障など、信頼性における課題が多かった。

今回、結晶欠陥に関するプロセスとデバイス構造を改善することにより、ボディダイオードをはじめ信頼性での課題をすべて克服することに成功。さらに、従来品に比べ、単位面積あたりのオン抵抗を約30%削減し、チップサイズの小型化を実現した。また、独自の実装技術により、外付けする必要があったSiC-SBDとの1パッケージ化にも成功し、SiC-MOSFETにおけるボディダイオードの課題であった順方向電圧(VF)を70%以上低減することが可能となった。

これらにより、一般的なインバータで使用されているSi-IGBTに比べて、動作時の損失を70%以上削減。低損失化を実現するとともに50kHz以上に高周波化することで、周辺部品の小型化に寄与している。

また、SiC-SBDを同梱しないタイプのSiC-MOSFET「SCT2080KE」も同時に開発した。生産拠点は、ローム・アポロ(福岡県)で、6月からサンプル出荷を開始し、7月より順次量産を開始する予定。

SiC-SBDとSiC-MOSFETを1パッケージ化した「SCH2080KE」