東芝は6月15日、車載機器やデジタルプロダクツなどの組み込み用途向けに、従来の試作品の8倍となる64コアを集積し、処理性能を約14倍向上させたメニーコアSoCを開発したと発表した。

近年、動画像の圧縮伸長処理、画像認識処理などのマルチメディア処理に対して高い性能が要求されており、一般的に使用されるマルチコアよりも、プロセッサコア数をさらに増やしたメニーコアの実用化が期待されている。しかし、メニーコアを組み込み用途として使用するためには、消費電力やサイズに課題があった。そこで今回、独自のアーキテクチャ構造と低消費電力回路を搭載し、メニーコアSoCを開発した。

独自の木構造のネットワークオンチップ・アーキテクチャや組み込み用途向けの高効率なプロセッサコアを採用したことにより、組み込み用途として使用できる84mm2のサイズで、従来比8倍の64コアの集積を実現した。また、他の演算回路も含めると、従来の8コアを集積したマルチコアSoCに比べて処理性能を約14倍向上させている。

低消費電力化技術としては、プロセッサコアごととメニーコア部全体の電源遮断、クロック遮断および、独自の低消費電力のフリップフロップ回路「Data-napping F/F」を採用した。製造プロセスは65nmから40nmへ進めて、消費電力効率を従来に比べて40~50%改善させている。

今後、同社では組み込み用途において、HDサイズを超える高性能な画像処理、画像認識などのアプリケーションを実現するために、今回のメニーコアSoCを活用していくという。