日立化成工業は、ハロゲンフリー・高Tg・低熱膨張の半導体パッケージ基板用材料「MCL-E-705G/800G」シリーズを開発したと発表した。

スマートフォンやタブレットPCに代表される電子機器の小型・薄型化の進展に伴い、半導体パッケージ基板に使用される基板用材料にも薄型化の要求が高まっている。また、半導体パッケージの実装時では、チップと基板材料の熱膨張の差により生じる反りが大きな課題となっている。さらに、電子部品の実装工程においては、環境に配慮し鉛はんだを使わないプロセスが主流となった結果、リフロー温度が高くなり、使用される材料にも高耐熱特性が求められている。

そこで今回、同社はこれまで培ってきた樹脂の設計・配合技術を活かし、従来の高Tg材と比べて熱膨張係数を約30~70%低減し、さまざまな半導体パッケージ構造において反りを低減することができる多層材料として、高弾性率の「MCL-E-705G」シリーズ、低弾性率の「MCL-E-800G」シリーズをラインアップした。中でも、「MCL-E-705G」シリーズの「705G(LH)」、および「MCL-E-800G」シリーズの「800G(L)」では熱膨張係数2.8ppm/℃を達成し、反りの大幅低減に成功したという。

2シリーズともに、半導体パッケージ基板用材料としての幅広い使用が期待され、FC-BGA、FC-CSPといったインターポーザ基板やPoP(Package on Package)の材料として最適な製品と同社では説明しており、具体的には「MCL-E-705G」シリーズが大型の半導体パッケージやビルドアップを多段に積み上げる構造の製品に、「MCL-E-800G」シリーズが半導体チップの熱膨張変化へ追従することでチップのダメージを抑制し、小型で薄い半導体パッケージに適しているとしている。また、最終製品としては、携帯電話やスマートフォン、情報デジタル機器などに加え、車載用など高温環境で使用される機器にも対応することが可能であり、今後、配線板メーカーや半導体メーカーへの製品紹介を進め、2015年度には2シリーズ合計で年間100億円の売り上げを目指す方針としている。