大日本印刷(DNP)は6月5日、コンデンサや抵抗器などの受動部品を内蔵したマザーボードを開発したと発表した。薄型化・小型化が求められるスマートフォン向けに6月より本格販売を開始する。
スマートフォンでは、十分な電池のスペースを確保する必要があり、搭載する電子部品には、さらなる薄型化・小型化が求められている。こうした課題に対し、同社では受動部品を基板に内蔵することで、従来品比で10~30%の小型化を図ることが可能なマザーボードを開発。すでに2011年10月から特定ユーザー向けに提供していたが、今回、より多くの企業に向けて提供を開始することで、本格的な事業展開を行っていくことを決定したという。
これまでも同社は6~8層からなる部品内蔵プリント基板を携帯端末などの各種モジュール向けに展開してきた。今回の製品では、これを12~14層とさらに多層化し、より多くの部品を内蔵することでさらなる薄型化・小型化を実現した。スマートフォンのマザーボードには、一般的に500~600個の電子部品が搭載されているが、その半数の受動部品が内蔵できるため、マザーボードの表面積を従来よりも10~30%小さくすることが可能となる。
また、厚みが0.33mmまでの受動部品を内蔵でき、12層のマザーボードでも厚さ0.9mmの薄型化が可能となっている。厚みが0.22mmまでの先端受動部品や、最先端の0.15mmまでの部品のみを使うことにより、さらなる薄型化・多層化も可能だ。さらに、部品を内蔵することで、マザーボード表面の能動部品(ICチップなど)との接続距離も短くなるため、電気特性が安定して信頼性が向上できるという。
なお同マザーボードは2011年11月に発売された京セラのスマートフォン「DIGNO ISW11K」に採用されているという。DIGNO ISW11Kは、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信などの機能を搭載した"オールインワン"タイプながら、厚さ約8.7mmを実現している。
同社では、スマートフォン用マザーボードを含めた部品内蔵プリント基板事業全体で、2013年度に40億円の売り上げを見込んでいるという。