凸版印刷とシチズンTICは6月6日、従来の白黒に加えて赤色とシアン(青緑色)の2色を表示可能としたマルチカラー版の大型電子ペーパーサイネージを開発したと発表した。タイル化した電子ペーパーディスプレイを組み合わせて大型化を実現した電子ペーパーサイネージのマルチカラー化は世界初だという。
凸版印刷では、電子書籍端末などに用いられるE Ink方式の電子ペーパーを、タイル化して組み合わせることで大型化した電子ペーパーサイネージを開発、2007年より仙台市地下鉄に実験設置するとともに2008年から広告・情報配信を行う「まちコミ」サービスとして商用化している。
これまで7.4インチ以下の小型電子ペーパーでは、2色表示の試作品があったが、技術的な課題から大型化が困難となっていた。今回、タイル化により大型化可能な狭い縁(狭額縁)での高精細電子ペーパーサイネージにカラーフィルタを適用する開発に成功、シチズンTICと共同で試作品を作成した。
マルチカラー版では従来の白黒表示に加え、赤色とシアンの2色を、カラーフィルタを用いて表示することにより、より効果的な静止画表示が可能となる。
また、対角72インチ表示で13Wと制御部の改良により一層の超低消費電力化を進めた電子ペーパーサイネージは、防災用途にも適している。具体的には毎日放送のホワイトスペース特区実験に協力し、阪急茶屋町ビルディングの屋外に面したショーウィンドウ内で、放送波によるデータ通信によって情報を更新するサイネージとして提供している。放送波連携用の受信機との合計消費電力は40W以下と少ないため、一般的なデータ通信が途絶した停電時においても、蓄電池で72時間以上、放送波を介して最新情報を受信して表示できる。 マルチカラー版電子ペーパーサイネージの概略仕様は、表示部サイズが横359.85×縦239.85mm、画素数は横120×縦80画素。
電子ペーパーサイネージ「まちコミ」の概略仕様は、表示部サイズが横1539.4×縦964.25mm(対角約72インチ)、画素数は横384×縦240(1画素は約4×4mm、横4×縦5タイル)。表示原理はマイクロカプセル型電気泳動方式(E Ink電子ペーパー、反射型白黒二値表示)、消費電力は表示部最大4W、制御部2W、通信機器7Wで合計最大13W(従来は21W)。通信方式はPHSによるIP通信。