日立製作所 執行役常務/情報・通信システムグループ 情報・通信システム社CSO 渡部眞也氏

日立製作所は、顧客・パートナー企業の知見と日立の技術・製品・ノウハウを活用して、ビッグデータから新たなビジネス価値創出を支援する「データ・アナリティクス・マイスターサービス」を6月7日から提供開始すると発表した。

執行役常務/情報・通信システムグループ 情報・通信システム社CSOの渡部眞也氏は、「情報・通信システム事業では『スマート情報事業』『高信頼性クラウド事業』『ビッグデータ利活用事業』を注力分野に据えており、ビッグデータ利活用事業では2015年度に1,500億円の売上を目指している」と述べた。

渡部氏は、ビッグデータ利活用事業における同社の強みとして、「IT&社会インフラ事業」「人財&ノウハウ」「ITプラットフォーム技術&製品」の3点を挙げた。同社は鉄道やエネルギーといった社会インフラ事業を幅広く手掛けており、情報システムと制御システムの技術をグループ内に保有しており、連携することができる。

ビッグデータ利活用事業の強化策としては、「顧客・ビジネスパートナーとの協創の推進」「ビッグデータ利活用に関するサービスの提供」「ビッグデータ利活用を支えるプラットフォーム製品・技術の開発」が紹介された

すでに、同サービスの提供に向けて、ビッグデータ利活用に関する専門家「データ・アナリティクス・マイスター」40人程度を結集した専任組織「スマート・ビジネス・イノベーション・ラボ」、同組織を中心にデータ分析に関する技術者・研究者・コンサルタント・SEなどを含む、グループ全体で200人超の体制が整備されている。

日立製作所のビッグデータ利活用事業の強化策

関連のプラットフォーム製品・技術については、超高速データベースエンジン・日立アドバンストサーバ「HA8000シリーズ」・ストレージ製品を組み合わせた「Hitachi Advanced Data Binderプラットフォームやビッグデータ戦略的活用支援ソリューション「vRAMcloud」 の提供が開始されている。

日立製作所 情報・通信システムグループ情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部副統括本部長兼ビジネスイノベーション本部長 安田誠氏

「データ・アナリティクス・マイスターサービス」の詳細については、情報・通信システムグループ情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部副統括本部長兼ビジネスイノベーション本部長の安田誠氏が説明を行った。

「データ・アナリティクス・マイスターサービスでは、経営・企画部門、フロント・現場、情報システム部門という企業の3つの部門から、ビッグデータに関するニーズをとりまとめて、日立の分析ノウハウと技術に基づいて価値を創出する」と同氏。

具体的には、同サービスでは、ビッグデータからビジネス価値を創出する取り組み「イノベイティブ・アナリティクス」を実践・提供する。「イノベイティブ・アナリティクス」は、ビッグデータ利活用の「ビジョン構築」からビジョンを実現するためのシナリオを描き、その価値を定量評価する「活用シナリオ策定」、実際にデータ分析手法を確立するとともにシステム化した際の性能と先に策定したシナリオの有効性を検証する「実用化検証」、有効性を検証したうえでの最終的な「システム導入」までの4フェーズのプロセスを提供する。

「イノベイティブ・アナリティクス」を実践・提供する「データ・アナリティクス・マイスターサービス」

「イノベイティブ・アナリティクス」で提供する4つのプロセス

「データ・アナリティクス・マイスターサービス」の概要

競合に対する強みと施策については、「IBMやEMCといった海外ベンダーは、ビッグデータ関連のソフトウェアベンダーを買収するなどして、ビッグデータ関連事業を推進しているが、われわれはビッグデータのすべての分野で争うつもりはない。社会インフラ事業など、日立らしい分野において強みをつくり、その分野に関するソフトウェアや技術を強化していく」と、渡部氏が説明した。