日本アイ・ビー・エム システム製品事業 ストレージ事業部長 勝俣正起氏

日本アイ・ビー・エムは6月5日、ビッグデータの効率的活用とコスト削減を実現するビジョン「スマーター・ストレージ」を掲げ、ストレージ製品の機能を強化していくと発表した。同ビジョンを具現化する機能として、ミッドレンジ・ストレージ「IBM Storwize V7000」向けに、ブロック・データをリアルタイムで圧縮して最大80%の容量を削減する機能が6月15日より出荷される。

同ビジョンは、「開発設計段階から極限まで追求された効率性」「自律的に最適化」「クラウドの俊敏性」という3つの軸から成るが、システム製品事業 ストレージ事業部長の勝俣正起氏は、「開発設計段階から極限まで追求された効率性が核になる」と述べた。「スマーター・ストレージは、当社にとって過去最大のストレージに関するビジョンであり、当社の市場に対するコミットメントと思ってもらってよい」

「スマーター・ストレージ」の概要

同ビジョンの3つの柱は、既存の製品・機能によって一部実現されているが、同社はさらに新たな機能を開発していく。「開発設計段階から極限まで追求された効率性」では、「ワークロードをかけることなく、増え続けるデータを管理するとともに、コストも抑制すること」を実現する。既存の機能としては、「IBM XIV storage system」による分散ミラーリング技術や「Protec TIERサーバ」による重複削減機能がストレージの効率性を実現している。

「スマーター・ストレージ」を具現化する製品群

今回発表された「リアルタイム圧縮機能」は、アーカイブしたデータではなく、アクティブなデータをリアルタイムで圧縮・復号することが可能。従来、同機能はファイル・データの圧縮を前提とし、専用アプライアンス機器上でのみ利用できたが、今回ブロック・データにも適用された。

同機能は、ミッドレンジ・ストレージ「IBM Storwize V7000」 とストレージ仮想化製品「IBM SAN Volume Controller」に適用でき、ソフトウェア「IBM Storwize V7000 Software V6.4」「IBM SAN Volume Controller Software V6.4 」として提供される。リアルタイム圧縮機能に対応した「Storwize V7000」の価格は1筐体当たり135万円で、SAN Volume Controller Software V6.4の圧縮に対する課金は1TB当たり30万4,800円からとなっている(いずれも税別)。

「自律的に最適化」では、「アクセスパターンを分析し、パフォーマンス・チューニングを自動化すること」を行う。その具体的な機能としては、データの自動再配置を1GB単位で行うストレージ階層化機能「Easy Tier」がある。同社は今後、このEasy Tierを発展させて、「サーバ内に内蔵SSDと外付けHDDのコンテンツを自動的に階層管理する機能」と「アプリケーションとミドルウェアによる最適なデータ配置を実現するためのAPI」を開発する。

「クラウドの俊敏性」では、予測できないアプリケーションの要求にもダウンタイムなしに対応することを実現する。その具体的な機能としては、「Active Cloud Engine」によるデータの適材適所の配置がある。Active Cloud Engineは単一あるいは複数のストレージプール上に作成したファイルシステム内でポリシーに基づく自動的なデータの再配置を実現する。

Active Cloud Engineについても、さらなる開発意向が表明されており、「IBM SONASとIBM Storwize V7000 Unified間の情報共有を可能にしてグローバルなファイル共有を実現」「特定のNAS上のファイルをSONASやIBM Storwize V7000 Unifiedで仮想化」といった機能を開発し、小規模のシステムでもActive Cloud Engineのメリットを利用できるように目指す。

今回発表された新機能(1)

今回発表された新機能(2)