2012年8月27日から29日に掛けて開催されるHot Chips 24のプログラムが発表された。これまでのHot Chipsはスタンフォード大学で開催されていたが、今年は会場が変わりクパティーノ市のDe Anzaカレッジの中にあるFlint Centerで開催される。Flint Centerはコンサートなどが行われるホールで、これまでの会場より収容人数が多いと思われる。
これまでもHot Chipsでは最新のプロセサの発表が行われてきたが、今年は特に多くのプロセサが発表されるホットな学会になりそうである。
まず、マイクロプロセサのセッションでは、Intelの第3世代コア(Ivy Bridge)のアーキテクチャとパワーマネジメントについての発表が行われる。そして、これに続いてAMDのJaguarの発表が行われる。AMDは2012年2月に開催されたAnalyst Dayで新しいロードマップを発表したが、その中で、Jaguarプロセサコアは、 2013年のローパワーAPUのKabini、ウルトラローパワーAPUのTemashに使用されることになっている。現在のネットブックや低電力のモバイルPCのプロセサに使用されているBobcatコアの後継となるプロセサコアである。Ivy Bridgeは、これまでにIDF(Intel Developer Forum)で情報が公表されているが、Jaguarの中身に関しては今回のHot Chipsでの発表が初めてであり、Bobcatからどのような改善が行われているのか興味深い。
また、AMDのCTOのMark Pepermaster氏が、としてAmbidextrous Ecosystemsと題する基調講演を行う。同氏は、IBMでPOWER、PowerPCプロセサの開発の責任者を務め、その後、Appleを経て、2010年にAMDに移ったという経歴の持ち主である。英和辞典ではAmbidextrousは「両手の効く」とか「非常に器用な」と訳されており、CPUとGPUを統合したAPUのエコシステムについて講演するのではないかと推測される。
サーバ系のプロセサセッションでは、IBMのPOWER7+、IntelのXeon E6 2600、 64bit ARMアーキテクチャのAMCCのX-Gene、富士通の16コアSPARC64 X、Oracleの同じく16コアのSPARC T5、IBMの次世代メインフレームプロセサのzNextと最新プロセサの発表がずらりと並んでいる。Xeon E6 2600のようにIDFなどである程度の情報が公表されているプロセサもあるが、これらのプロセサの大部分はこれまで情報が公開されておらず、学会での発表はこれが初めてである。各社の高性能プロセサの開発方向を示すものとして注目される発表である。
メニーコアとGPUのセッションでは、IntelのMany Coreの最初の製品となるKnights Cornerの発表が行われる。Knights Cornerのマイクロアーキテクチャに関してはIDFでも全く情報が出てきておらず、初の学会デビューである今回の発表は注目の的である。また、同じセッションで、AMDのRadeon HD7970 GPUのGraphics Core NextとTrinity APUについても発表が行われる。
この他にも興味深い発表があり、今年のHot Chipsは、まさにホットである。