NASAは、天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突が起こり、天の川銀河が属している太陽系に影響を及ぼすと発表した。
NASAのハッブル宇宙望遠鏡がアンドロメダ銀河を綿密に測定した結果から、今回の結論に達した。アンドロメダ銀河は250万光年の彼方にあるが、両銀河の重力と、目に見えないダークマターの重力によって、天の川銀河に衝突していく。
天の川銀河とアンドロメダ銀河の合体を表した連続画像も発表されており、現在から70億年後の銀河衝突の経緯を見ることができる。
ふたつの銀河の中にある星々の距離は非常に離れている。そのため、銀河同士の接触時に衝突はせず、新たな銀河の中心周辺の軌道に投げ出されることになると推測される。シミュレーションでは、太陽系も現在の位置から、銀河核からさらに離れた位置に押し出される可能性が高いが、地球や太陽系が破壊される危険はないと考えられる。
さらに複雑なことに、アンドロメダ銀河の伴星やさんかく座銀河も衝突に加わり、のちに合体すると考えられている。しかしながら、さんかく座銀河の方が先に天の川銀河と衝突する可能性は低いとされている。
銀河は今も膨張し加速を続けており、銀河をとりまくダークマターの重力のために、隣り合う銀河同士が衝突する。ハッブル宇宙望遠鏡のデータから、宇宙が現在より小さかった時には、こうした衝突が頻繁に起こっていたことが分かっている。
前世紀の段階では、アンドロメダ銀河が天の川から遠く離れた別の銀河であることは認識されていなかった。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡の名前の由来となった天文学者・エドウィン・ハッブルが変光星の存在を明らかにすることによって、銀河同士の距離を測定した。
さらにハッブルは、銀河同士が離れていく膨張宇宙を発見したが、今日では、アンドロメダ銀河が天の川銀河に時速約40万キロメートル(地球から月まで1時間で行ける速さ)で近づいていることが知られている。この測定では、ドップラー効果(動く天体から発せられる波の周波数と波長の変化)を使い、アンドロメダ銀河の地球に対する動きによって銀河内にある星の光がどの程度圧縮されているかを測定した。
最悪のシナリオでは、アンドロメダ銀河と天の川銀河は真正面からぶつかり合い、星は様々な軌道に散らばっていくと考えられている。銀河内の星は激しく揺さぶられるため、天の川銀河は円形軌道上の星のほとんどを失い、現在の平たい形は崩れてしまう。銀河の核が合体し、星は無作為の軌道に落ち着き、その結果、ひとつの楕円銀河を形成するとされている。
天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突を表現した動画も、予測画像と合わせて公開されている。ハッブルの観測によると、このふたつの銀河は約40億年後に衝突し、約60億年後には合体してひとつの銀河になるとされる。この動画にはさんかく座銀河も登場するが、この銀河も、上記ふたつの銀河が合体してできた銀河におそらく加わるであろうとしている。