GLOBALFOUNDRIES(GF)は6月4日、6月3日~7日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催されているDesign Automation Conference(DAC)において、ゲートファースト・高誘電率メタルゲート(Gate First High-k Metal Gate:HKMG)を採用した28nmプロセスの超低消費電力(Super Low Power:SLP)テクノロジー用シリコン検証済みデザインフローのデモを行うと発表した。
同デザインフローは、先端の設計自動化テクノロジーを用いた、最新のアナログ/ミックスド・シグナル(Analog/Mixed Signal:AMS)デザインに対する完全なフロント・ツー・バック・サポートを提供する。さらに、EDAパートナーと共同で開発したデザインフローの詳細を発表する予定。また、20nmプロセスに対してアナログおよびデジタルの両方で「ダブルパターニング・アウェア」フローを導入しており、生産の検証を2013年初頭に開始する計画という。
今回、新しいデザインフローをシリコン上で検証する計画をリリース前に公約したことで、ユーザーはEDAサプライヤから提供された、業界で最も進んだデザイン・ツール、ツール・スクリプト、および設計メソドロジのセットを用いて、実用レベルの28nmデジタルおよびアナログ回路を設計することができるようになった。これにより、GFのデザイン・ツール・パートナーおよびIPエコシステムとの緊密な連携が、20nmプロセスに向けた開発を加速させ、他のファンドリーより、優れたゲート密度、性能、および消費電力を先行して提供できるとようになったとしている。
GFの28nmのAMS製造フローは、Virtuosoテクノロジーによるレイアウト・ツールでCadence Design Systems、寄生パラメータ抽出でSynopsysとCadence、および物理的レイアウト検証でMentor Graphicsをはじめとした多数のベンダーから提供された統合サポート・ツールであり、Mixed Vendor Flowと呼ばれている。このデザイン・フローは、真の統合化ミックスド・シグナル・フローであり、Cadenceが開発したEncounter Digital Implementation Systemをベースとしたデジタル・インプリメンテーション・モジュールを完全にサポートしている。この実証済みのアプローチにより、アナログIPを製造用標準セルを用いたデジタルSOCデザインに組み込むことが可能となっている
さらに、このデザイン・フローには特別なEDAサプライヤであるLorentz Solutions、Helic and Integrand Softwareから提供されたインダクタ合成および抽出ツールが含まれている。また、Solido Design Automationが開発したVariation Designer プラットフォームを用いた高速バラつき考慮(variation-aware)解析のサポート、およびApache Designが開発したTotemソフトウェア・プラットフォームを用いたEM/IR解析ツールも含まれている。さらに、Mentor GraphicsのCalibreツール・スウィートによるDRC Waiver(DRC 擬似エラー管理ツール)の利用も可能となっている。
28nmのAMS Production Designフローは、アナログ・デザインにより、300MHz~3GHzまでの動作が検証されている。実証にはクロック・デューティ・サイクル、ピーク・ツー・ピーク・ピリオド・ジッタ、および重要なアナログ・ブロックの動作電流の特性などが用いられている。また、2次元形状ベースのパターン・マッチング法を使用しているため、精度を犠牲にすることなく複雑な製造上の問題を特定する際の解析速度を最高100倍も改善できるという。
20nmノードにおいては、2つの20nm RTL2GDSIIフローを開発した。1つはSynopsysのGalaxyツール・スウィートをベースとしており、もう1つはCadenceのEncounterプラットフォームをベースとしている。両方とも複雑なダブルパターン・テスト・チップを設計して 現在シリコン上で検証が進められている。これらのフローは、合成、カラー表示の配置配線、寄生パラメータ抽出、STAおよび物理検証をサポート。パターンの分解および物理検証には、Mentor GraphicsのCalibreが使用されている。デザイン・フローはダブルパターニング・アウェア配置・配線、最適化、抽出および物理検証を含み、デザイン・プロセスの各ステップでダブルパターニングの使用をサポート。ダブルパターニングのサポートにより、異なったマスクの部分を分解したり、マスクの分解やカラーの割り当てのために自動化された方法を使用することを選択することが可能となっている。