ロームは6月4日、サーバやノートPC、タブレットPCなどで使用される低耐圧向けDC/DCコンバータ用パワーMOSFET16品種を発表した。
近年、サーバやノートPCなどの高性能化に伴い、CPUなどの消費電力の増加と動作電圧の低電圧化が進み、機器の電源回路における温度上昇やバッテリー駆動時間の低下が課題となっている。こうした中、パワーMOSFETは、同期整流方式降圧型DC/DCコンバータなどが各種電源回路に搭載されており、電源の電力変換効率アップに直結する重要な役割を担っている。パワーMOSFETで低損失かつ高効率を実現するためには、オン抵抗およびゲート容量の低減が重要となるが、これらはトレードオフの関係にあるため、両立が困難だった。
同製品群は、プロセスの微細化に加え、独自の低容量構造とトレンチ型フィールドプレート構造の採用により、低ゲート容量と低オン抵抗の両立を実現。DC/DCコンバータ向けパワーMOSFETの性能指数として用いられる「FOM」を従来品に比べ50%低減し、業界トップクラスの高効率性を実現した。これにより、同期整流型DC/DC電源回路のHigh Sideにおけるスイッチング損失を低減すると同時に、Low Sideにおける導通損失も低減でき、回路全体の効率を向上させた。また、高い周波数での同期整流動作が可能となるため、周辺部品の小型化も可能となる。さらに、同期整流回路での性能を確保するため、Rg(ゲート抵抗)、UIS(L負荷アバランシェ耐量)については100%試験を実施しており、品質面でも高い信頼性を有している。
なお、用途に合わせて3種類の小型パッケージをラインアップ。HSMT8は、HSOP8に比べて実装面積を65%削減し、省スペース化に寄与する。DC/DC電源回路におけるHigh Side用MOSFETとLow Side用MOSFETを複合化した新パッケージHSOP8(Dual)は、実装面積の削減だけでなく、実装回数の低減にも繋がるという。サンプル価格は30~50円。生産拠点は、前工程がローム(京都府)、後工程がROHM Integrated Systems(Thailand)となっており、2012年4月からサンプル出荷を開始しているほか、5月から月産100万個の体制で量産を開始している。