シャープは5月31日、レンズで集光した太陽光を電気に変換する集光型化合物3接合太陽電池セルで、世界最高クラスの変換効率となる43.5%を達成したことを発表した。

化合物太陽電池セルは、InやGaなど、2種類以上の元素からなる化合物を材料とした光吸収層を持つ変換効率の高い太陽電池だ。

今回同社が開発した太陽電池セルの基本構造は、InGaAsをボトム層とする3つの光吸収層を効率よく積み上げる独自の技術を採用。3つの光吸収層で集光された太陽光を効率良く電気に変換できることに加え、受光面の電極間隔を最適化し、電気抵抗を最小限に抑えることで変換効率43.5%を達成したという。

同成果は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として開発が行われたもので、効率の測定は独フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所にて行われた。

なお、同社では化合物太陽電池は現在、特殊用途として主に人工衛星などに使用されているが、今回の開発成果を、小面積の太陽電池セルで発電できる集光型システムに応用することで、地上用途への展開を目指していくとしている。

集光型太陽光発電のイメージ(左)と、今回開発された変換効率43.5%を達成した集光型化合物3接合太陽電池セル(右)