NECは、2006年に同社が世界で初めて開発した、ネットワーク(イーサネット)を利用してコンピュータの構成を拡張する技術「ExpEther」(エクスプレスイーサ)を搭載した、初の製品を発表し、販売を開始した。

「ExpEther」は、PCI ExpressとEthernetを統合したシステムハードウェア仮想化技術で、PCI Express over Ethenetrをハードウェアで実現する。サーバやワークステーションなどの複数のコンピュータで、Ethernet上のハードディスクやネットワークカードといったデバイスを同時に共有することも可能。

サーバ・ワークステーションと各種デバイスとの接続にイーサネットを利用するが、データ転送はTCP/IPを使用せず、サーバ・ワークステーション内に内蔵されたデバイスでの転送と同じ高速データ転送(DMA転送)が可能だという。

NECは、この「ExpEther」を搭載する製品として、サーバ・ワークステーション側に搭載する「ExpEtherボード」、そのサーバにネットワーク経由でコンピュータ資源を接続するための「ExpEther I/O拡張ユニット」、サーバ・ワークステーションに接続する端末「ExpEtherクライアント」の3製品を販売する。

「ExpEtherクライアント」。これにマウス、キーボード、ディスプレイを接続し、リモートで利用する

大阪大学では、これらの製品を汎用コンピュータシステムに導入し、10月から稼動する予定で、これまで教室で学生が使用していた高性能PC(約600台)それぞれに「ExpEtherボード」を搭載し、サーバ室に移設して集中管理することで教室内の消費電力低減を図る。また、学生は教室で「ExpEtherクライアント」(600台)を介してPCをリモートで利用するというシンクライアント的な利用を行う一方、夜間など授業のない時間帯は、サーバ室のPCの資源(CPU)を「ExpEther」経由で他の用途(大容量計算処理など)にも利用するという。

「ExpEtherボード」

「ExpEther I/O拡張ユニット」

価格(税別)は、ExpEtherボードが25,000円~、CPU・HDD・GPUなど各種デバイスを搭載し、ExpEtherを利用してアクセス可能とする拡張ボックス「I/O拡張ユニット」が40,000円~、ExpEtherを介して、サーバ・ワークステーションにアクセスする端末「ExpEtherクライアントが35,000円~。

いずれの製品も、サポートOSはWindows 7 Professional 32bit/64bit。

ExpEtherクライアントには、1000BASE-T RJ45×2(ExpEther接続ポート)、DVI-I×1、HDMI 1.3× 1、ヘッドフォン×1、マイク×1、USB 3.0×1、USB 2.0×3などがあり、ExpEther I/O 拡張ユニットの搭載可能なボードは、N8104-121/126(1000Base-T 接続ボード)、nVIDIA Quadro NVS300、nVIDIA Quadro 600。