Texas Instruments(TI)は、TINA-TI SPICEモデルを付属した逐次比較レジスタ(SAR)型の12ビット、1MSPS、8チャネル内蔵 A/Dコンバータ(ADC)「ADS8028」を発表した。

これまで、SAR ADCのシミュレーションやモデリング、検証を行うためには、ADC回路をハードウェアで近似する必要があり、時間とリソースへの投資が必要だった。同製品を用いることで、システム設計において、ソフトウェアによるアナログ・シグナル・チェーン全体のシミュレーションおよび特性の検証が実現する。また今回、TIの全ての新型SAR ADCでTINA-TI SPICEモデルがサイトからダウンロード可能となり、ADCの駆動回路の全特性を検証可能となることから、製品開発の迅速化に寄与するという。

「ADS8028」は、低ドリフトの電圧リファレンスを内蔵している他、広い外部アナログ電圧リファレンス範囲、広いアナログ・デジタル電源電圧範囲、温度センサの内蔵といった特徴を持つ。アナログ電源電圧範囲は従来比3倍の2.7V~5.25V、デジタル電源電圧範囲は同80%増の1.65V~5.25V、外部リファレンス電圧範囲は同2.5倍の1V~5V。消費電力はパワーダウン・モードで最大36μW。動作温度範囲は-40℃~+125℃。

また、TINA-TIのリファレンス・デザインおよび製品の評価モジュール(EVM)には、「OPA836」ドライバ・アンプが含まれており、ソフトウェアによるシミュレーションおよびハードウェアの評価を迅速化できる。

なお、パッケージは4mm角のQFN。価格は1000個受注時で3.25ドル。すでに量産出荷を開始している。また、TINA-TI SPICEモデルの他、プリント基板の信号のインテグリティ要件の検証に役立つIBISモデルも供給している。ADC「ADS8028」向け評価ツール「ADS8028EVM-PDK」の価格は199ドル。