日本マイクロソフトは5月21日、Windows ビジネスで連携する日本のパートナー向けのイベント「Windows Partner Executive Summit」を東京・渋谷のホテルで開催した。この中で、米Microsoft CEO スティーブ・バルマー氏が講演し、同氏は、「Windows 8はリリースプレビュー版を6月早々に出し、今年の後半には製品をプレインストールした形での展開が可能になる」と述べ、年内にWindows 8をリリースする予定であることを明らかにした。

米Microsoft CEO スティーブ・バルマー氏

バルマー氏は冒頭、「Windows タブレット、Windows PC、Windows Phone、Windows Server、Windows Azureなど、今年はWindowsの年だ。クラウドとの連携、クラウドへの移行もWindowsで進める。中でも目玉はWindows 8だ。Windowsの再創造がWindows 8で実現される。これは、パートナーにとっても大きなチャンスだ。Windows 8によって新しいチャンスを確保できる。この1年で競合他社は6,000~7,000万台のタブレットやPCを出荷しているのに対し、Windowsは3億5,000万台が出荷された。われわれには、このような強い基盤がある」と述べ、Windowsプラットフォームの優位性を強調した。

そして同氏は、同社がテクノロジーの観点で5つの領域に力を入れているとして、「機械学習」、「フォームファクター/ユーザーインタフェース」、「クラウド」、「コアプラットフォーム」、「新たなシナリオ」を挙げた。

マイクロソフトがフォーカスするテクノロジー分野

機会学習については、今後はビッグデータを加工し、データから学習することが重要になり、具体的なテクノロジとして、音声認識、ジェスチャー認識、顔認識、意図を読み取る技術が必要になるとした。

フォームファクター/ユーザーインタフェースでは、音声/視覚認識、タッチ、マウス、ペンなどの入力デバイスの技術を挙げた。

クラウドについては、マイクロソフトのテクノロジイノベーションの柱と位置づけ、「新しいサービス展開のためのプラットフォームとなり、マイクロソフトのエクスペリエンスの全体に組み込まれる」とし、例として、Windows 8でのSkyDriveを挙げた。

コアプラットフォームでは、Windows Phone、Windows Azure、Windows Serverも含めて、Windowsがコアプラットフォームだとし、今後、パートナーが提供しているハードやソフトに対してのビジネスチャンスを確保したいと述べた。

そして、新しいシナリオでは、「今後のコミュニケーションの姿は、これまでと大きく異なってくる。そのためにSkypeを買収した。これにより、バーチャル会議が、実際に対面しているような効果を持つようになり、いま人々が夢見ているようなことがいろいろなチャンスを生み出してくれる」と述べた。

そして最後に、日本マイクロソフトの樋口社長から日本のパートナーに対してメッセージを求められ、「日本には質の高いサポート体制や活発なコミュニティがあり、世界の3大市場の1つだ。そして、これまで日本は世界に輸出することで成功してきた。ただ、日本は米国などよりも人口が少なく、生産拠点も海外に移転しているので、今後さらなるイノベーションが必要だ。Offiice 365、Windows Azure、Hypre-Vなどの製品を活用し、クラウドへの移行を進め、自社の生産性をさらに向上させる必要がある。そして、そこで培ったイノベーションを世界各国に展開していくことが重要だ。Windows PCは1年で3億5,000万台と他の競合よりも多く出荷しているので、それだけチャンスも大きい」と述べ、Windowsベースでのイノベーションをもたらす新たな製品の提供に期待を寄せた。

樋口社長の質問に答えるバルマー氏