清水建設、東芝、シャープ、明電舎、東京ガス、三菱重工業、富士電機、古河電気工業、古河電池の9社は5月18日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した「スマートグリッドの日米共同実証プロジェクト」の一環である「アルバカーキ市における商業地域スマートグリッド実証プロジェクト」の実証研究を米国ニューメキシコ州アルバカーキ市で開始したことを発表した。

実証施設の開所式で行われたテープカットの模様。右から、Rob PERRY 氏(Chief Administrative Officer, City of Albuquerque)、古川一夫NEDO 理事長、Michael DALY 氏(President, Mesa del Sol)、Ronald TALBOT(Chief Operating Officer, PNM Resources)

同プロジェクトの概要は、既存の商業ビル(3階建て、延床面積7,000平方メートル、電力負荷約400kW)に、太陽光発電50kW、ガスエンジン発電機240kW、燃料電池80kW、蓄電池90kWを電源とするマイクログリッド(需要者側の電力供給網)を構築し、各設備を制御することで、「商用電力の供給者からの要請に基づいた商業ビル内の需給調整(デマンドレスポンス)」「商業ビル内の電力熱需要に応じた運転」「地域の電力会社が敷設している太陽光発電の出力変動補完」を行うというもの。

米国からは地域の電力会社「PNM(Public Service Company of New Mexico)」とサンディア国立研究所、ニューメキシコ大学が参画し、電力会社と需要者側の協調を図ったスマートグリッドの実証を共同で行う。プロジェクトのデータ管理はアクセンチュア、実証サイトの運営支援を伊藤忠商事が担当する。

プロジェクトは2010年8月に9社がNEDOと実施契約を締結、2011年9月までの間に実証研究に採用する各種電源・熱源機器ならびに制御システムの設計・製作、同年10月から2012年4月までの間に各種設備機器の商業ビルへの搬送・据え付け・調整運転などを実施している。

日本企業9社の役割分担は次のとおり。

企業名 役割
清水建設 マイクログリッド全体システムの設計・構築、ビル・エネルギー・マネージメント・システム(BEMS)の設計・構築、蓄熱空調システムの設計・構築、全体システムの運用および検証
東芝 スマートグリッド(商用電力)側のエネルギー・マネージメント・システム(EMS)の設計・構築・性能検証
シャープ 太陽光発電システムの設計・調達・性能検証
東京ガス 分散電源制御方法の設計・構築・性能検証
三菱重工 ガスエンジン発電機および制御システムの設計・製造・性能検証
富士電機 燃料電池の設計・調達・性能検証
明電舎 太陽光発電用電力制御システム(PCS)の設計・調達・性能検証
古河電工 蓄電池管理システムの設計・調達・性能検証
古河電池 蓄電池の設計・調達・性能検証