あなたは職場で思ったことを口にするタイプだろうか? 米国と英国の共同研究から、自分の感情や気持ちを素直に表現できることは、家族や友人との関係においては好循環を生むが、職場での満足や幸福とは無関係であることがわかったという。
BusinessWeekが「It Doesn't Pay to Be Yourself at Work(職場で自分に正直に振る舞うことは、プラスにはならない)」という記事で、この調査を紹介しているので、その概要をお届けしよう。
この調査は米ヒューストン大学と英グリニッジ大学が行ったもので、550人以上の人に自分の考えや感情を素直に表現することについて聞いた。回答者の約半分が、「自分を印象付けたり、自分をすごいと思わせたりするために家族やパートナー、友人に嘘をつくことはない」としたが、職場となるとそのような正直さを貫く人は3分の1に減った。
こうしたことから、研究チームは家族、友人、恋人など親しい人といる時に自分の感情を素直に表現できることは幸福や満足感に好影響を与えるが、職場においては自分を素直に表現できるかどうかは満足感とは無関係だという結論を導いている。
研究チームの1人でグリニッジ大で心理学とカウンセリングの専任教員を務めるOliver Rovinson氏は、「職場では感情をコントロールする、抑えるもの」と思われていることに加え、自分の株を上げるために努力をすることが多いと示唆している。こうした状況では、正直さよりも誇張表現のほうが効果的だろう。結果、「自分の感情を素直に出したり、思ったことを口に出したりすることは難しい」とRovinson氏は見ている。
記事では、他の調査として、「職場で感情を素直に出せることはパフォーマンスを上げる、仕事での満足を改善する」というハーバード大学研究者の意見も紹介している。だが、現場では働く側も企業も、感情を出すことをよしとして奨励する文化がないとのことだ。
さて、実際のところ、どちらがよいのだろうか。明確nな答えは出ないだろう――記事は、「仕事で感情を出さないことはきわめて普通のことで、そうしたからといって生活の質に悪い影響はないのでは」というRobinson氏の言葉で終わっている。