ルネサス エレクトロニクスは5月16日、高電圧用安全規格に対応する外形14.5mmのフォトカプラ「PS9905/9924」の2品種を発表した。

「PS9905」は、産業機器向け商用最大電圧である690V電源のインバータや高電圧1000Vの太陽光発電システムのインバータ用フォトカプラとして、安全規格IEC61800に準拠し、強化絶縁に適用できるもの。また、インバータを構成するIGBT駆動用デバイスでは、初めて長沿面距離14.5mmを実現した他、絶縁電圧も7500Vrmsと高いのが特徴となっている。IEC61800に準拠したことにより、従来の沿面距離8mm品を2個必要とされていたのを同製品1個で済むようになった。さらに、新規開発の表面実装8ピン小型パッケージを採用したことにより、実装面積を従来比で約30%削減でき、インバータ回路の高電圧化や小型化に寄与する。

受光ICには、独自のBiCMOSプロセスを採用した。これにより、寄生容量の低減を行い、回路電流(Icc)を3mA以下に抑えたまま、150ns以下の遅延時間(tPHL、tPLH)短縮を実現した。2.5A出力のフォトカプラでは、トップクラスの高速応答を実現し、インバータ制御後の出力電流の精度を向上できる。

一方の「PS9224」は、機器内部通信向け10Mbpsの高速フォトカプラで、14.5mmの長沿面距離を実現している。10mm以上の長沿面距離製品だが、大幅な低消費電力を図り、入力電流(IFHL)5mA(MAX.)および回路電流(ICC)5mA(TYP.)を実現した。また、3.3Vと5Vの2電源に対応し、動作周囲温度は-40~110℃対応と幅広く、高密度実装に伴う高温環境下の通信にも使用できる。

なお、サンプル価格は2品種とも300円。すでに量産を開始しており、2012年末に月産100万個を計画している。

ルネサスのフォトカプラ「PS9905/9924」