2012年5月14日から17日(米国時間)にかけて米San JoseのMcEnery Convention CenterでNVIDIAの「GPU Technology Conference 2012(GTC 2012)」が開催されている。初日はチュートリアルで、15日のJen-Hsun Huang CEOのキーノートが本会議の幕開けになる。
NVIDAのGPUはグラフィックス以外にも多くのスーパーコンピュータで使われており、2011年11月のTop500の2位の天河1Aや5位の東京工業大学(東工大)のTSUBAME 2.0はNVIDIAのGPUを主要な計算チップとして使っている。
今回のGTCの目玉は、これらのスパコンに使われているFermi GPUの次世代となるKepler GPUが発表されると見られることである。Kepler GPUは2012年3月に発表され、すでにGTX680などの製品が出ているが、このGPUは俗にKepler 1とも呼ばれるグラフィックス向けのチップである。今回発表されるのは科学技術計算向けのKepler 2と呼ばれるチップであり、浮動小数点演算の強化や信頼度を向上するためのECCなどが強化されているとみられる。
GTCの特徴は、ユーザからの科学技術計算関係の発表が多いことである。NVIDIAのGPUの搭載は、スパコンではメインストリームとなっており、GPUをうまく使いこなして高性能を実現することが重要なトピックになっている。このため、多くの大学や研究機関でGPUコンピューティングの研究が行われており、GTCでは色々な問題に対するGPUを使った効率的な計算法についての発表が行われる。
メーカー主催のConferenceというと、メーカーのマーケティングの色彩が強く、技術的な内容が少ないことが多いが、その点ではGTCはIEEEなどの学会が主催するレベルの内容の濃い発表が多い。GPUコンピューティング自体がNVIDIAが作り上げ、実質的にこの分野を引っ張っているという面があるが、私企業が、このレベルの学会を開催するのは注目に値する。