ニールセン・カンパニーは5月14日、「うつ状態に関する日米比較調査」の結果を発表した。これによると、「うつ状態」の人の出現率は、米国が9.6%だったのに対し、日本はその約3倍の30.4%だったという。

うつ状態の人の出現率 資料:ニールセン・カンパニー

うつ状態の原因においても、日米で違いが見られた。日本のトップ3の原因は、「仕事上のストレス(82.5%)」、「生活に対する経済的な不安(55.3%)/自分の将来に対する不安(55.3%)」だったのに対し、米国のトップ3は「自分の将来に対する不安(67.3%)」、「生活に対する経済的な不安(61.4%)」、「家庭内の問題(53.5%)という結果となっている。

うつ状態の原因 資料:ニールセン・カンパニー

うつ状態にある時、普段に比べてどの程度仕事に時間がかかるかを聞いたところ、日本では平均約1.4倍、米国では約1.2倍の時間がかかっていることがわかった。また、うつ状態になった際、「病院に行く」と答えた人は米国のほうが多く(日本:16.5%、米国:38.6%)、日本では「気晴らしに趣味などに打ち込む」と答えた人が多かった(日本:71.8%、米国:55.4%)。

こうした結果を踏まえ、コンシューマー リサーチ部門のシニアエグゼクティブの福井健太氏は、「米国と異なり、日本では仕事上のストレスや身近な環境における人間関係がうつ症状の主な要因となっていることが明らかとなった。それに呼応するように、平常時と比較した際の仕事における効率も米国と比べて明らかに低下していた。また、日本人はうつ症状を誰かに相談するよりも自分で解決しようとする傾向にあり、それが医療機関への受診率の低さにつながり、うつ病の潜在患者数の多さ(うつ症状を有する対象者の出現率の高さ)という結果を引き起こしていると思われる」とコメントしている。