国立科学博物館は5月14日、同館にて7月21日より10月8日まで開催する特別展示「元素のふしぎ」に関する説明会を開催し、同展の見どころや展示物の説明などを行った。

国立科学博物館で7月21日から開催される特別展「元素のふしぎ」のポスター

同展は近年、レアアースや放射性物質などの話題もあり元素に注目が集まっていることを受け、元素とはどういうものであるのか、その魅力をより身近に感じてもらうために企画された特別展。半導体製造装置大手の東京エレクトロン(TEL)が特別協賛、大日本印刷(DNP)が協賛しているほか、文部科学省とTBSラジオが後援に名を連ねている。ちなみにTELが特別協賛した背景としては、あらゆる場所に元素が存在するのと同時に、Siなどさまざまな元素で作られる半導体もあらゆるところで用いられているという点と、同社が2012年に創業50周年を迎え、未来を創るのは子供であり、こういうことに興味を持った子供たちが次の50年を作るような人に育ってもらいたいという想いからだそうだ。

展示構成は宇宙から地球、環境、人間と巨大なものから小さなものまで構成する元素のイメージと、大型映像による元素の誕生の瞬間(ビッグバン)の解説が行われる「プロローグ」と、6つの展示ゾーンに分けられている。

「元素のふしぎ」展はプロローグと6つのゾーンに区分けされ、約500点の展示物が展示される

プロローグでは、巨大な元素周期表がお出迎えしてくれる

ゾーン1では、「元素ってなに?」をテーマに宇宙、地球、人間が食べている食物に含まれる元素などについてのパネルや小惑星や月由来の隕石、小惑星イトカワの模型などが展示される。

ゾーン2とゾーン3は「元素の基礎知識」と「元素の構造」をテーマにしており、約100年前の周期表や約100年前に発見/報告された幻の元素「ニッポニウム」に関連する資料の展示(ゾーン2)や3Dガラス彫刻による電子の軌道模型などを見ることができる。

元素にまつわる様々な歴史的なものなども展示される予定

そしてメインとなるゾーン4は「すべての元素」というテーマで、現在発見されている118種類のできる限り実物を用いての紹介(紹介できないものとしては放射性物質など)と、それらの元素が、具体的にどういったところで使われているか(例えば半導体の高純度シリコン単結晶や宝石(天然/人工)、リチウムイオン電池)、乗った人間の元素の重さを図ることができる体重計(人間の体を構成する20種類以上の元素の割合、一般的に酸素61%、炭素23%、水素10%、窒素2.6%、カルシウム1.4%、リン1.1%、その他1.0%未満が多数)、種類の違う金属元素の色や重さ、硬さなどをじかに触れることで、知ることができるコーナーなどが用意される。

メインのゾーン4はH(水素)から118元素すべてを何らかの手段で展示していく

ゾーン5は「メッセージ」として、地球を取り巻く元素の問題(レアアースや都市鉱山など)に対するコメントなどが提示される予定。そしてゾーン6では「日本の科学技術と化学者」として、実際に触って体験できるワークショップやトークショーなどが行われる予定。

これらワークショップやトークショーの内容に関しては夏休み中の7-8月は小学生などの元素を知らない子供でも楽しめるようなものを考えているほか、夏休み終了後などではちょっと大人向けのギャラリートークショーが行われる予定としており、子供のみならず、大人も楽しめる展示会になるという。

また、関連企画も色々と予定されている。例えば、国立科学博物館内のレストランやカフェでは、元素にまつわるメニューやクッキーなどが販売されるほか、古代ギリシャ時代の元素の考え方から、それを大きく変え、現代の元素への道筋を作った錬金術ということで、月刊少年ガンガンで連載されていた荒川弘氏の漫画「鋼の錬金術師」の劇場版「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」とのコラボレーションも予定されている。ただし、現時点では詳細が決まっておらず、決まり次第改めて発表されるとのこと。

なお、開催期間は前述のとおり2012年7月21日から10月8日、場所は東京・上野の国立科学博物館、開館時間は午前9時から午後5時(最終入場は終了の30分前。金曜日は午後8時まで。8月11日から19日までは午後6時閉館、8月17日は午後8時まで。休刊日は毎週月曜、月曜日が祝日の場合は翌火曜日。また7月23/30日、8月6/13/20/27日、10月1日は休館)。観覧料金は一般・大学生が1300円(前売り/団体1100円)、小中高校生が500円(前売り/団体400円)(団体は各20名以上、障碍者とその介護者1名は無料)だが、このほか、特別チケットとして男女問わず2000円で2名同時入場可能な「金曜限定ペア得ナイト兼(午後5時~8時)」と水曜日の開館時間内有効な1名様女性限定の「水曜限定レディース」(1000円)の2種類も用意されている。