ロームは5月14日、電気自動車(EV)やハイブリッドカー(HEV)用のインバータに搭載されているIGBTやパワーMOSFETの駆動に最適な絶縁素子内蔵ゲートドライバ「BM6103FV-C」を開発したと発表した。

EVやHEVが普及する中、さらなる性能向上のため、インバータ回路の小型化に対する要求が高まっている。インバータ回路を小型化するためには、一般的に車載用インバータ1基当たり6個搭載されているゲートドライバをさらに小型化する必要がある。また、車載特有の厳しい駆動環境の中で安全性を確保するためには、様々な保護機能が必要となる他、運転者を感電から守るため、絶縁素子としてフォトカプラなどの外付け部品を用いる必要があった。一方で、SiCデバイスをインバータ回路に使用した場合、スイッチングの際に発生するノイズへの対策も大きな課題となっていた。

同製品は、独自のBiCDMOS技術と新規開発のオンチップトランスフォーマプロセス技術の融合により、絶縁素子を内蔵したゲートドライバでは最小のパッケージを実現。外付け部品を不要とし、従来品に比べて実装面積を約50%削減した。また、従来のフォトカプラ方式に比べて消費電力を1/4に削減でき、EVやHEVに求められるミラークランプ機能、フォールト出力機能、低電圧時誤動作防止機能、サーマルプロテクション機能、短絡保護機能、短絡保護時ソフトターンオフ機能といった車載インバータ回路に要求される保護機能を備えており、インバータ・システムの設計負荷も軽減する。さらに、SiCを使用したパワーMOSFETの高速スイッチングにも対応しており、次世代電気自動車向けに高効率化を図る際にも寄与するという。

なお、パッケージは6.5mm×8.1mm×2.01mmのSSOP-B20W。2012年6月からサンプル出荷を開始する。サンプル価格は1000円。量産は2012年9月から月産1万個の規模で開始する予定。

車載向け絶縁素子内蔵ゲートドライバ「BM6103FV-C」

従来品とのスペック比較