アドビ システムズは、最新のクリエイティブソリューションを紹介する『Adobe Creative Cloud & CS6』発表イベントを開催。本レポートでは、同イベント第2部のテクニカルセッションで行われた「Adobe Creative Suite 6」(CS6)のデモンストレーションを紹介する。

今回行われたデモンストレーションは、CS6に含まれる様々なアプリケーションの中から、デザイン、ビデオとオーディオ、Webサイト、そしてフォトという4つのカテゴリ別に実施。それぞれのカテゴリについて内容の濃いセッションが展開された。

気になる新機能を分かりやすく実演

すでに情報としてはWebサイトなどで報じられているCS6の新機能だが、今回の発表イベントでは、新機能の凄さや便利さ、そして文章では伝わりにくい処理速度の向上などを実演。

Illustratorではパフォーマンスアップの実演としてドロップシャドウを実行した場合の速度を計測

線に対してグラデーションが割り当て可能な新機能も紹介

デザインカテゴリでは、同社の岩本崇氏が、64ビット対応となった「Illustrator CS6」のパフォーマンスを、CS5との比較によって解説。多数のオブジェクトに対してドロップシャドウを実行した場合、CS5では12.5秒掛かったところが、CS6では半分以下の5秒で完了する様子を見せている。そのほか、線に対してグラデーションの割り当てが行える新機能の解説も行い、CS6で制作したファイルの印刷に関しても、大日本スクリーンをはじめ、多くの印刷会社に確認してもらっている最中であることも説明した。

「InDesign CS6」の新機能である「リキッドレイアウト」の実演

新しいWebサイト制作ツール「Muse」も紹介された

「InDesign CS6」の実演は、電子出版への対応がスムーズに行える「リキッドレイアウト」を中心に実施。デザイナーのためのWebサイト制作ツール「Muse」の紹介では、プランの作成、各ページのデザイン、プレビュー、パブリッシュ、そして公開されたWebサイトを解析してレポートの表示が行えるマネージまでの手順が説明された。

「Muse」で制作したWebサイトは解析も可能

ビデオとオーディオのカテゴリは、同社の古田正剛氏による、アドビ・マーキュリー・プレイバックエンジンが強化された「Premiere Pro CS6」の実演からスタート。エフェクトを再生しながらパラメーターの変更が行えるようになったり、CS5.5では4つまでだったマルチカメラ編集が、CS6では25のカメラに対応したことを解説している。

収録から出力までをサポートするCS6のビデオとオーディオ制作ツール

「After Effects CS6」では、新機能「3Dカメラトラック」や「レイトレース3D」レンダラーの新搭載によって3Dの表現力が大幅にパワーアップしたことや、RAMプレビューを大幅に効率化する「グローバルパフォーマンスキャッシュ」を実演によって説明。

撮影現場で録音した音声とアフレコした音声の波形を同調させる「Audition CS6」の新機能「スピーチの自動同調」や、撮影が終わった素材を管理するツール「Prelude CS6」と、昨年までは他社が数百万円で販売していたというカラーグレーディングツール「SpeedGrade CS6」の紹介も行われている。

各種デバイスの表示サイズに対応する、Dreamweaver CS6の「可変グリッドレイアウト」

Webカテゴリでは、同社の轟啓介氏が「Dreamweaver CS6」と「Fireworks CS6」を使ったHTLM5とCSS3を使用するWebサイト制作を実演。CS6のWebツールでは、HTLM5とCSS3のサポートが大幅に強化されており、Dreamweaver CS6の「可変グリッドレイアウト」や、Fireworks CS6で制作したオブジェクトのCSS3表現を書き出す方法などを解説。HTML5を使ったアニメーション作成や読み込んだHTMLにアニメーションを追加する「Edge」(夏にリリース予定)、HTML5の制作ツールとしても使える「Flash Professional CS6」の使い方なども解説した。

一般からの参加者も募られた会場からは、新機能の実演が行われる度に驚きの声や拍手が聞こえ、デモの様子をリアルタイム配信していたUstreamでも大きな反響があったようだ。