大日本印刷(DNP)と同社100%子会社で機能性材料の開発・販売を行うDNPファインケミカルは5月7日、タッチパネル向け電極材、絶縁材、接着剤の3製品を開発したと発表した。DNPファインケミカルが6月より販売を開始する。

近年のスマートフォンやタブレット端末の急速な普及に伴い、これらの機器に搭載されているタッチパネルの市場も急拡大している。そこで、DNPでは印刷やエレクトロニクス部材の製造で培った材料開発技術を転用し、成長が見込まれる静電容量方式タッチパネル向けの機能性材料を開発、販売することになったと開発背景についてコメントしている。

「銀ペースト電極材」は、静電容量方式タッチパネルの取り出し電極をスクリーン印刷で形成する材料。従来のスクリーン印刷方式では、線幅100μm程度が限界だったが、同製品では50μmまでの微細な配線が印刷できる。また、100℃以下の低温で硬化するため、基材としてガラスだけでなく低温処理が必要なプラスチックフィルムにも利用でき、薄型・軽量が求められるモバイル機器向けタッチパネルに適している。

「絶縁材」は、タッチパネルの電極を絶縁するための膜を形成する材料。フォトリソグラフィ方式での絶縁膜形成に適しており、積層する電極の交差部などの細かいパターンに合わせて形成できる。また、電極の配線パターンを目立たなくする効果もある。

「接着剤」は、カバーガラスとタッチパネル、またはタッチパネルと液晶パネルを貼り合わせるための材料。透明性が高くディスプレーの視認性を損なうことがないのが大きな特徴となっている。液体タイプで層間に充填するため、粘着フィルムタイプに比べ、カバーガラスとタッチパネル、またはタッチパネルと液晶パネルのメーカーごとに異なる層間隔に柔軟に対応できる。さらに、製造不良時など、貼り合わせたものを剥がす必要が生じた際に、周囲の部材を損なうことなく剥離するリワーク性も備えている。

同社では、今回の製品を自社内のタッチパネル部材の製造に活用していく考え。また、DNPファインケミカルでは、タッチパネルメーカーなどへ販売し、2015年度には25億円の売り上げを見込んでいる。

3つの新製品の応用例