東日本大震災を起こした「東北地方太平洋沖地震」の震源域を掘削調査している地球深部探査船「ちきゅう」が、海底から地下856.5メートルまでドリルを掘り進め、海面下7740メートルの世界最深掘削記録を作った。海洋研究開発機構が4月27日に発表した。これまでの記録は、1978年に米国の「グローマー・チャレンジャー」号がマリアナ海溝チャレンジャー海淵で達成した7049.5メートル(海底までの水深7034メートル、海底下掘削15.5メートル)だった。
海洋研究開発機構は、日米など25カ国が参加する「統合国際深海掘削計画」の一環として、「ちきゅう」を用いた「東北地方太平洋沖地震調査掘削」を4月1日から5月24日までの予定で行っている。掘削の目的は、巨大地震を引き起こしたプレート境界断層を構成する岩石の種類や物性を明らかにすること、断層がずれて発生した摩擦熱の温度変化を直接計測することだ。
実際の掘削作業は、宮城県・金華山沖約220キロメートルの日本海溝で、ドリルパイプ(長さ9.5メートル)を継ぎながら海底下約1000メートルまで2種類の孔(A孔、B孔)を掘削する。A孔では、ドリルパイプの先端部に各種計測センサーを取り付け、掘削しながら地層物性の計測を行う(「掘削同時検層」)ほか、開けた孔内に最大55個の温度計からなる計測システムを設置する。B孔の掘削では岩石コア試料を採取し、孔内に最大21個の温度計と2個の水圧計からなる計測システムを設置する。これらの計測システムで得られたデータは、今回の航海後に、無人探査船「かいこう7000Ⅱ」で回収する。
世界最深の記録はA孔の掘削で達成されたもので、海面下6883.5メートルの海底から856.5メートルまでを掘削し、同時検層も完了した。次に、近傍でのB孔の掘削作業に入るという。
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