シーメンスPLMソフトウェアは、同社のPLMシステム「Teamcenter」の最新バージョンとなる「Teamcenter 9」をリリースしたことを発表した。
同バージョンは、同社が標ぼうする「HD-PLMビジョン」に基づいた新たなソリューションの実装と機能拡張が図られており、これにより従来以上に適切な情報に基づく形で、効率的、かつ高い信頼性を持った意思決定を可能にすると同社では説明している。
今回のバージョンでは、新たに「統合システムズ・エンジニアリング・ソリューション」が追加された。これにより、完全統合アプローチによるシステムズ・エンジニアリングと要件管理の支援が可能となったため統合アーキテクチャ全体の統合性を従来以上に強化することができるようになり、よりスマートな意思決定の実現が可能になるとともに、その意思決定による影響の見える化も実現できるようになる。
また、従来のシステム・モデリングやインタフェースのドキュメンテーション、要件のドキュメンテーション用のスタンドアロン・ツールを提供するだけのシステムズ・エンジニアリング・ソリューションとは異なり、Teamcenter環境から直接管理が可能な、よりシステム駆動型の製品開発アプローチを提供しており、これにより、バリューチェーンの上流・下流を通して共通のシステム・ビューの実現ができるようになり、後期工程のシステム統合時に、ある要件が物理的実装と関連付けられていなかったために発生する問題などを事前に回避できるようになる。
さらに、ユーザーガイドや修理マニュアルなどのドキュメントコンテンツは、製品出荷に合わせる必要があるため、製品開発における大きな位置を占めるが、これまでは開発の途中で設計変更が生じたりするため、開発が完了した後、ドキュメンテーション作業に着手するといった手順が踏まれてきた。Teamcenter 9では、コンテンツ管理の統合を機能強化しており、製品ドキュメントの作成を設計プロセスと並行して行うことができるようになった。例えば、変更が発生すると、すぐにその事象が伝達され、変更による影響をドキュメント作成に効率良く反映させることができるという。コンテンツ管理機能では、テキストやグラフィック、メタデータなどの製品間における共通要素を再利用するという構成駆動型のドキュメンテーションをサポート。これにより、各デバイスに対応したマルチメディア配信やグローバル市場に対応した多言語展開などのニーズを満たす、コンテキストベースの効率的なマルチチャンネル・パブリッシングが可能になるという。
このほか、「Cortona3D」の「Rapid Authorアプリケーション」との統合強化により、設計データとイラストのリンクを保持した状態でのドキュメント作成が可能となり、設計データの変更をそのままドキュメント全体に反映させることができるようになった。
加えて、新たにサービス・スケジューリングおよび実行モジュールが追加され、サービス・ライフサイクル管理に対するビジョンが拡大された。これまでサービスのスケジューリングと実行はPLMの分野外で個別に実施されていたが、こうした状況では、公表している手順に従ってサービスが実施されたかどうかをトレースすることは難しく、安全性のリスクや製品故障、さらには追加コストや罰金が科せられるダウンタイムの発生リスクが上昇していた。今回の拡大により、サービス・スケジューリングと実行管理ソリューションを統合し、サービスの発注とタスクを定義して効率的にスケジューリングすることでコストが効果的にコントロールできるようになったほか、サービスを提供する組織のリソースの最適化と、サービスのスループットを改善し、資産の非稼働時間を削減することができるようになったという。