東京医科歯科大学は4月24日、ピッツバーグ大学、順天堂大学、ハーバード大学との共同研究で、骨の折れ易くなる病気(骨粗鬆症)や、運動・加齢により骨の減る病態への副甲状腺ホルモン受容体の骨形成促進作用にはアドレナリン受容体が必須であることを突き止めたと発表した。

成果は、東京医科歯科大学難治疾患研究所分子薬理学分野・グローバルCOEプログラム-歯と骨の分子疾患科学国際教育研究拠点-の野田教授と江面准教授、早田助教らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、4月23日付けで国際学術雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」オンライン版に掲載された。

骨粗鬆症が寝たきりや無重力の状態で急速に進行する際には骨形成の急激な低下が起こるのに対して、現在得られる骨形成の促進薬は「副甲状腺ホルモン(PTH)」の1つのみだ(画像1・2)。しかも、その使用には大きな制約があり、作用のメカニズムも不明なため、新たな創薬への有効な方法は現在も見出されていない。

画像1。PTH投与による海綿骨量の上昇は「Adrb2」欠失で抑制される

画像2。PTH投与による骨形成の増加はAdrb2欠失で抑制される

研究グループは、今回の研究で副甲状腺ホルモン受容体による骨形成の促進作用にはアドレナリン受容体の2つの「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)」が必須であることを見出した(画像3・4)。

画像3。骨粗鬆症モデルでPTHによる骨量増加には「β2アドレナリン受容体」が必要

画像4。骨粗鬆症モデルでのPTHの骨形成における促進効果には、β2アドレナリン受容体が必要

この発見により、副甲状腺ホルモン受容体とアドレナリン受容体に作用する骨形成の新しい促進薬の開発を含め、廃用性骨萎縮に関わる治療への道も開かれた形である。

この研究をさらに発展することにより、日本において急速に増加している骨粗鬆症の中でも特に、重症の骨粗鬆症や廃用性骨萎縮に対する病態の更なる解明と新規治療法への開発が期待できるとした。