休憩や勤務時間など、従業員のためによかれと思って調整したことが、実は法律に違反している場合がある。双方が合意の上でメリットがある場合でも、法は法、違反は違反である。

OpenForumでは、「The 10 Mistakes Most Likely to Get Sued(法律違反となる可能性のある10のミス)」という記事で米国の労働法の例を紹介している。

スタッフのAさんは小さな子どもがおり、できるだけ早く帰宅したい。幸い、昼休みは人手不足なので、Aさんが続けて働いてくれると会社としても助かる。もちろん、Aさんも早く帰宅できるので、お互いにメリットがある。そこで、Aさんは8時に出勤し、昼休み抜きで14時30分まで仕事をすることにした。実質勤務時間は6時間半だが、勤務時間としては昼休み1時間を入れた7時間半とカウントして報酬を払う。

だが、これは米国では違法となる。OpenForumによると、米国では4時間おきに30分の食事休憩と10分の休憩をとらなければならないことになっているという。

スタッフが30分の食事休憩か10分休憩のどちらかをとらなかった場合、雇用主は1時間分余分に報酬を払わなければならず、同一の日に食事休憩も休憩もとらなかった場合は2時間分を支払わなければならない。従業員は休憩の権利を放棄できないため、守らなかった場合は――Aさんが合意したとしても――雇用主が責任を問われることになる。

日本では労働時間が6時間を超えたら45分の休憩、8時間を超えると1時間の休憩が義務付けられているので、このケースは日本でも労働基準法違反となりそうだ。

このほか、「出産や病気などによる休暇中にその要員の雇用契約を終了する」「管理層にハラスメントや差別行為に関するトレーニングを提供していない」「有給休暇を使わないと失効する」「従業員にローンを提供し給与から差し引く」「従業員が会社支給のコンピュータなどの会社の資産を戻すまで最後の給与は払わない」などが、米国では違法となる可能性があるとのこと。

記事の例は米国の法律に照らし合わせたものだが、ぜひとも日本の労働基準法もチェックしておきたい。労働基準法は厚生労働省のWebサイトから参照できるし、わかりやすく解説したサイトもある。賃金などの報酬を払う雇用主の立場でも、もらう立場でも、労働法の基本を知っておいて損はないだだろう。

2010年に施行された「改正労働基準法」に関する情報を掲載する厚生労働省のWebページ