富士通は4月16日、英HPC Walesとスーパーコンピュータを活用した共同研究を開始し、ウェールズの大学に計算科学に関する7つの博士課程奨学講座を設立したと発表した

HPC Walesは、2010年7月にウェールズ政府より発表された2015年までの国家プロジェクトで、ウェールズ大学等の大学で構成される非営利団体により管理運営されている。

同講座は、ウェールズ政府が地場産業にて重要視している「エネルギー」、「環境」、「ライフサイエンス」の3分野におけるスパコンの活用推進を目的として開設される。

エネルギー分野では、奨学講座のうちの3つの講座では、特に海洋エネルギー開発と、その開発による経済への影響についての研究。環境分野では2つの講座が設けられ、気候変動による極域氷床や海水位の安定性への影響や石油・ガス産業に役立つと考えられる、マントルが地形や地殻熱におよぼす影響を予測するためのシミュレーションに焦点を当てた研究が行われる。

そして、ライフサイエンス分野では、ゲノム全配列を非常に速く低コストで読み取ることができる第二世代のDNAシーケンス装置が開発されたことにより、重要な研究対象となっているという。

設備面では、富士通のPRIMERGYをクラスタ構成にしたHPC Walesのスパコンを利用し、Fujitsu Laboratories of Europe Limitedや富士通のテクニカルコンピューティング部門の研究者などが共同研究に携わる。

同社は2011年にHPC Walesにスパコンを提供するパートナーとして、4年間で1,500万ポンドのプロジェクトを受注。講座ではスパコンを利用し、低炭素エネルギーの開発、二酸化炭素隔離、気候変動の影響の理解、農業の改善を目的としたゲノミクスの活用に関する研究などを行っていく。