NASAが「Image of the Day」で取り上げた魅力的な宇宙の写真の中から、今回は特に印象的な“光”を捉えたものを紹介する。

オリオン大星雲に散りばめられた星々

Chaos in Orion

スピッツァー宇宙望遠鏡がとらえた、1,500光年彼方にあるオリオン大星雲の中で生まれたばかりの星の画像。中央には巨大な星が4つ存在しており、局所的に明るく黄色い部分を作り出している。

この画像には着色処理が施されており、緑色は水素と硫黄ガス、赤色とオレンジ色は炭素を多く含む分子を表している。星雲全体にばらまかれているかのような黄色の小さな点は、生まれたばかりの星である。

真横からみた「UFO銀河」

Hubble Spies a Spiral Galaxy Edge-on

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「UFO銀河」。この銀河は渦巻銀河で正式名称を「NGC 2683」というが、真横から見える形状が古いSF映画に出てくるUFOの形に似ているため、The Astronaut Memorial Planetarium and Observatoryの天文学者が「UFO銀河」という愛称をつけた。

銀河を真横から見ることで、金色に輝く銀河の中央部分に映し出される繊細なアームが見られるという利点がある。加えて、円盤内に広がる若い星の青い光から、星が形成される領域の分布を確認することができる。

真横からでは見えない部分もあるが、銀河が発する光の特性を調べると「NGC 2683」は棒渦巻銀河であると考えられる。この画像は可視光と赤外線で撮影されたものを組み合わせて作成されている。

オーロラと街の光が彩る地平線

Horizon

高度240マイル(約384キロメートル)の国際宇宙ステーションから撮影した、北大西洋東部の画像。中心点の座標は北緯46.8度、西経14.3度。

夜の街の光が写っているのがアイルランド(手前)とイギリス(奥)で、背景に光る朝日とコントラストをなしている。また、緑色と紫色のオーロラの光も地平線に沿って映し出されている。

ハッブル宇宙望遠鏡が見た、M9の輝く宝石

ハッブル宇宙望遠鏡が、球状星団である「M9」を過去最高の解像度で撮影した。この星団の光は非常に微弱なため肉眼で見ることはできないが、ハッブル宇宙望遠鏡では光り輝く25万個以上の星を捉えることができた。

Hubble Sees Glittering Jewels of Messier 9

「M9」は地球から2万5,000光年離れた天の川銀河の中心近くに位置しているため、銀河の重力でその球体が少し歪んでいる。球状星団には宇宙誕生後間もない頃から存在する最古の星が含まれていると考えられているが、太陽の2倍の年齢であるM9に含まれる星は他と比べて特異な構成をしており、太陽の質量より重い要素はほとんど見られない。

中でも、地球上の生物に欠かせない要素である酸素や炭素、また地球の核を構成している鉄などは、M9やそれに似た星団にはほとんど見当たらない。これは、先述したような質量の重い要素が、星の核の内部や超新星爆発によって徐々に形成されてきたことに由来している。M9の星が形成された時にはこうしたものはほぼ存在していなかったのだ。

撮影された星々の色は温度と関係しているが、人間の直感的な感覚とは異なり、青色の方が赤色に比べて温度が高い。様々な色が鮮やかに輝くこの画像から、星の温度も様々であることが分かる。

おまけ:国際宇宙ステーションから見たドバイの夜景

国際宇宙ステーションのクルーが、地球を見下ろして撮影したドバイ上空の写真。画像右下には、特徴的な人工島「Palm islands(パーム・アイランド)」の形も見て取れる。星々の輝きと比べればぐっとスケール感は縮まるが、道路や建物の放つ“光”が人の営みを象徴しているようで、印象的な1枚だ。

Dubai at Night