レッドハットは、日本市場において、Red Hat Enterprise Linux 5及び6の製品ライフサイクルを標準で7年から10年に延長すると発表した。サポート延長について、すでに米Red Hatが、今年の1月31日に発表している。また同社は、従来のRed Hat Enterprise Linux 5のサポート期間を特別に13年間に延長して、2020年までサポートすることも合わせて発表した。
Red Hatでは、Red Hat Enterprise Linuxの各メジャーリリースにおいて、運用フェーズ1、2、3、および延長ライフサイクル(ELS)フェーズの4つのライフサイクルフェーズを通じてサポートサービスを提供していくという。
最初の5年半がフェース1で、ここでは新しいハードウェアや新機能への対応。その次の1年がフェース2で、ここではフェース1の補助的に新たなハードへの対応を行う。そして、最後の3年半が安定的な運用をサポートするフェーズ3で、セキュリティ関連を主にサポートする。なお、次のメジャーバージョンであるRed Hat Enterprise Linux 7は、2013年後半にリリースされる予定だという。
同社では、今回のサポート延長により、よりミッションクリティカルな業務システムにおけるRed Hat Enterprise Linuxの採用を狙う。
レッドハット 代表取締役社長 廣川裕司氏は「50年以上のメインフレーム中心のICT市場が今日から変わる。今回、そういう意味のある発表をした。日本の市場はユニークで、1万台以上メインフレームがあり、このような国はほかにはない」と、長期サポートにより、メインフレームとUNIXで30%以上を占める市場を切り崩していきたいという意向を示した。
また、米Red Hat 副社長兼プラットフォーム事業部門長 ジム・トットン氏は「現在のエンタープライズ市場の課題について「エンタープライズの課題に継続的に取り組んでいくことが重要で、データセンターの管理では、コストを押させていくことが問題となっている。これらは、我々が発表したライフサイクルの変更にも密接に関係している。クオリティを担保していくためには、ライフサイクルが重要で、技術革新とクオリティのバランスをとっていくことが大切だ」と述べた。
また同社は、Red Hat Advanced Mission-Critical Program(AMC)を、富士通、日立製作所、NECなどのパートナーを通して、Red Hat Enterprise Linux 6に対しても提供を開始することも発表。
AMCは、エンタープライズユーザーからの要望で追加されたオプションで、レッドハットは2008年より提供している。このプログラムは、サポートへの問い合わせの応答時間の迅速化、緊急の問題解決、重大な問題のプロアクティブ通知のほか、特定マイナーリリースのサポート延長などが提供される。
ユーザーを代表して挨拶した三菱東京UFJ銀行 常務執行役員 村林聡氏は「三菱東京UFJ銀行では、10年前からLinuxを基幹システムに取り入れてきたが、今後は10年間へのサポート延長により、長期的に安心して利用できる。これからはLinuxの採用はチャレンジではなく、自然な選択となり、EOS(Electronic Ordering System)投資を減らすことで、より戦略的投資ができる」と述べた。