日本には和傘職人や和紙照明職人、染職人など、伝統文化を受け継ぐ様々な匠が存在する。本企画は、そんな伝統的な世界でしのぎを削る若きクリエイターたちを13人連続で紹介していく。第11回は革職人の沢藤勉と共に、オリジナリティある革小物ブランドCOTONAを展開しているデザイナーの片岡照博を紹介する。インタビューの後半ではパソコン選びに向けるこだわりも垣間見え、特に"グラフィック系のアプリケーションをスムーズに操作可能な容量とデザイン性"を重要視すると回答。そんな片岡氏は、デルのUltrabook「XPS 13」にはどのような印象を持っただろうか。

片岡照博プロフィール

<たのしライフ>を合言葉に、景観・建築・インテリア・小物・グラフィックデザインに携わる仕事に従事。色彩計画事務所CLIMATに在籍する傍ら、クリエイティブ集団COTONAを主宰。2011年より首都大学東京システムデザイン学部非常勤講師。2002年、工学院大学建築学科都市建築デザインコース卒業。2003年、早稲田大学芸術学校都市デザイン学科卒業。同年COTONAの活動を開始。設計事務所を経てクリマ入社。2002年日本建築学会設計競技 優秀賞・タジマ奨励賞。2003年早稲田大学芸術学校都市デザイン学科卒業設計 最優秀賞。2004年第18回建築環境デザインコンペティション佳作。

仕事へのこだわり

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

片岡照博(以下、片岡)「社会人になり名刺入れを探していた時、気に入るデザインのものが見つからず、大学の写真部で同級生であり、革職人の沢藤勉に作ってもらおうとデザイン画を書いて手渡したのがきっかけです。それがCOTONAの立ち上げへとつながりました」

――これまでで一番思い入れのある仕事は? その理由や思い出を教えてください。

片岡「COTONAの製品をご愛用下さっているお客様に、時を経てつやを増した革の様子を見せていただく時、毎度のことながら深い喜びに包まれます。まるで成長した我が子と再会したかのような思いです。COTONAの製品にはすべて物語があります。たとえば、本の虫をモチーフとした定番商品であるブックカバーは、もともと出版社に勤めていた義父の退職祝いにと、考案したもの。催事等でお客様とお話しをしている際、製品の背景にある物語に共感していただいた時も、やはりうれしいものです」

――自身の作品を制作するにあたっての一番のこだわりとはどのようなものでしょうか?

片岡「製作を進める上で大切にしているひとつの判断基準として、自分が欲しいと思うもの、使いたいと思うものを作りたいということがあります。

エクボを採用したCOTONAカードケース

また、日常生活に寄り添ったご提案をしたいと考えているため、飽きのこないシンプルなデザインを心がけています。COTONAの革製品は日々お使いいただくだけで、自然と表情が豊かになっていきます。ブランド名"コトナ"には【コドモからオトナまでたのしライフ】というメッセージを込めています。老若男女問わずお使いいただくためにも、シンプルであるということは重要な要素となっています。

デザインの検討は機能性と物語性の両方のバランスをみながら進めています。機能性だけを追い求めることで、置き去りにしてしまうコトがあるような気がしていまして、一見不便と思われる方法であっても心の豊かさを感じさせる余地があればそちらを採用することがあります。

たとえば、COTONAの雑貨にはエクボという留め方があります。これは革紐でクルクル巻いて留めるタイプなのですが、フタに開けた小さな2つの穴が特徴で、革紐を巻く際にその穴にキュッキュッと食い込ませることで、鞄の中でも紐がずれないようにしています。フタをペロッとめくった際に並んだ2つの穴がえくぼのように見えたので、そこからエクボという名が付きました。

革紐でくるくる巻いて留める方法は、ファスナー等の留め方と比べると、幾分かの手間がかかります。ただ、その巻き取る所作のひと時を(あきらめも含めて)ゆとりの時間と捉えていただけたら、せわしい世の中の流れとは、また一味異なる生活リズムを楽しむことができるのではないか。そんなことを考えています」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

片岡「今までは革単体の製品づくりを基本としてきましたが、他の素材(木、金属、紙、ガラス等)を扱う方々との協動で新たな商品開発も行っていきたいと思っています。また、 日常生活に寄り添う小物の延長として家具のデザイン、空間デザイン等ライフスタイルの総合的な提案につなげていきたいと考えています」

――愛用している道具や本、ものを教えてください。

片岡「モノでは、COTONAのカードケース(名刺入れ)とコンパクトウォレットを日々使っています。自分でほしいと思って作ったので、愛用しているのは当然なのですが(笑)。 本では、『すてきなあなたに』大橋 鎮子(著) を仕事場のそばに置いています。日常生活の中に溢れる喜びに気づかせてくれ、味わいのある装丁も魅力的です。それから『生きのびるためのデザイン』ヴィクター・パパネック(著) も、大学1年生の時に手にしてから、ことあるごとにページをめくっています。デザインが社会に対して担う役割について言及した1冊です。 雑誌では『クーリエジャポン』を定期購読しています。 世界で起きている出来事を多角的な視点から知ることができるので、貴重な情報源となっています」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

片岡「アイデアを練る際は場所や時間に関わらず、頭のスイッチをオンにしています。例えば散歩中でも、子供と遊んでいる時でも、お菓子を食べている時でも、ヒントが隠れていないか探しています」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

片岡「休日は読書や散歩、子どもとあそぶことが多いです。ハマっていることは、今も昔もスナック菓子です。仕事に集中したい時はスナック菓子が手放せないのですが、今は特にわさび味のポテトチップスに熱を上げています」

代表作品

COTONA キャンドルハウス

COTONAカードケース(デベソ)

DELL×日本の若き伝統職人13

デルがこのほど発売したUltrabook「XPS 13」は、スペックのみでなく表面のデザインが洗練されているなど、デジタル界の匠ともいえる非常にスタイリッシュな製品。日本の伝統文化を継承する若きクリエイターたちは同製品にどういった印象を持ったのであろう。

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――創作活動のどういった局面でパソコンを利用しますか?

片岡「手描きのスケッチで検討したアイデアを具体的な寸法で検討する時。工房で作る試作品の出来上がりをリアルタイムにチェックする時。工房とのメールのやりとり。商品の販売も主にウェブショップなので写真やインフォメーションはすべてHP上にのせています」

――仕事の上でパソコンがあって良かったと思ったエピソードもしくは今後の創作活動で活躍できそうなシーンを教えてください。

片岡「遠隔地でもリアルタイムでやり取りできること。工房との情報の共有がスムーズにできること。打合せの時にクラウド上からデータをひいてすぐに紹介できること。催事出展時に接客した際、現場にはない商品について、PCを使ってすぐ紹介できたこと」

――自分の選ぶパソコンの基準(こだわり)を教えてください。

片岡「スペック(グラフィック系のアプリケーションをスムーズに操作できる、容量が必須です)とデザイン性」

――DELLから発売されたXPS13というUltrabookが出たのですが、日本の伝統を受け継ぐクリエイターからみて、この製品に対してどんな印象を持ちますか。

片岡「薄くてスマートなデザインだと思いました」

――持ち運びに便利な薄型ノートXPS13を使用して、今後の仕事で活用してみたいシーンを教えてください。

片岡「打合せ時の活用(打合せしながらすぐ商材のインフォメーションや写真を出す)催時の店頭において商品をスライドショー化する。打合せの合間にメールのやりとりももちろん、出先でスケッチからデザインを起こしたりするのに使えそうだと思いました」