米Facebookは4月9日(現地時間)、モバイル向け写真サービスを提供する米Instagramを買収することで同社と合意したと発表した。買収金額はおよそ10億ドルで、現金とFacebook株の組み合わせで支払う。順調に進めば、6月末までに買収手続きが完了する見通し。
Instagramは、モバイル向けの統合的な写真サービスを提供している。ユーザーは、スマートフォンアプリで撮影した写真を、スマートフォン・アプリを使って手軽に加工し、それらを写真版Twitterと呼べるようなサービスで共有できる。2010年10月にサービスを開始して以来、iOSアプリだけでこれまでに3000万人以上のユーザーを獲得。4月3日にAndroidアプリの提供を開始したばかりだった。
Instgramの買収は、製品の利用者数ではFacebookにとって過去最大規模になる。Facebookは大きな買収に積極的な企業ではないが、今回買収に踏み切った大きな理由として近年同社が強化に努める「写真共有体験」を挙げている。
ただしFacebook CEOのMark Zuckerberg氏は、InstagramをFacebookに取り込むのではなく、これまで通りに独立したサービスとして存続させる意向を示している。「(FacebookとInstagramは)お互いを補足し合う異なる利用体験を備える。しかし、単にInstagramをFacebookに統合しようとするのではなく、Instagramの強みと機能を維持し、その上で発展させるように留意しなければ、相乗効果を上手く引き出すことはできない」と述べる。Instagramの他のソーシャルネットワークとの接続性も維持する計画で、InstagramユーザーがFacebookで写真を共有したくなければ、Facebook以外のサービスを選択でき、またFacebookの友達に限らず、Instagramにおいてフォロー/フォロワーの関係を構築できるようにするという。「このアプリ(Instagram)とブランドをより多くの人々に広げる手助けをするのが、われわれの役割だ」とZuckerberg氏。
Instagram CEOのKevin Systrom氏は「大事なことなので、Instagramがなくなったりはしないことをはっきりと伝えておきたい。われわれはInstagramを進化させ、ネットワークを広げるためにFacebookと協力する。これからも製品に新しい機能を追加し続け、そしてモバイルにおけるより良い写真体験を作り出す新たな方法を見いだしていく」とコメントしている。