文部科学省は、5月21日に全国各地で見られる日食(一部地域では金環日食)について、観察への注意を呼びかける資料を公開している。日食については「幼児・児童・生徒の自然や科学への関心を深める好機」とする一方で、「不適切な観察方法により目に障害を与えた例」もあるとしている。
公開されている資料は「2012年5月21日 日食を安全に観察するために(PDF)」。日本天文協議会、財団法人日本眼科学会、社団法人日本眼科医会が、学校向け資料として作成したものだが、日食観察の注意点や観察方法が記載されており、日食観察を行う多くの人にとって役立つ内容となっている。
資料は全8ページ。日本の主な地点における日食予報や、不適切な日食観察で起こる日食網膜症などへの注意喚起などのほか、観察方法として日食観察グラスの使用を挙げ、肉眼で見ることはわずかな時間でも目を傷める危険性があると警告している。
資料では「色つき下じき、すすを付けたガラス板、色ガラス、サングラスやファッション用グラス、ゴーグル、感光したカラーネガフィルム、カメラ用のND (減光)フィルター、重ねた偏光板など」については、「適切な減光が得られないことや、目には見えない有害な光線が目の奥に届いて網膜を傷つけてしまうおそれがあり、たいへん危険」としている。
また、日食観察の安全な方法として、投影された太陽像を見る方法も紹介。これは、ピンホールカメラの原理を利用したもので、小さな穴を空けた厚紙などを太陽に向け、その影を観察すると太陽の形がわかるというもの。木々の影を観察する方法も、これと同じ原理。このほか、小さな鏡で、太陽の光を壁面などに反射させて観察する方法も紹介されている。