Freescale Semiconductorは、リッチなヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)やコネクティビティ、厳格なリアルタイム制御/応答性を必要とするアプリケーションの開発を簡素化するコントローラ・ソリューション・ポートフォリオ「Vybrid(バイブリッド)」を発表した。

産業システムでは従来、グラフィカルなディスプレイ機能とリアルタイム制御機能を実現するために複数の製品を必要としてきた。Vybridソリューションでは、独自の非対称型マルチプロセッシング(AMP)アーキテクチャを通じて、1チップでHMIとリアルタイム制御双方のニーズを処理できるため、部品点数を削減し、システムの複雑性を軽減することが可能となる。

Vybrid製品の第1弾となる「VFシリーズ」は、エネルギー効率に優れた「ARM Cortex-A5コア」と「ARM Cortex-M4コア」を組み合わせることで、リッチOSとリアルタイム・ドメインの管理を別々に実行する。また、ハードウェアと密接に連動したソフトウェア環境を活用することで、2つのOS(例:LinuxとMQXなど)の間で同時通信を可能とする。

また、エラー訂正コード(ECC)を備えた最大1.5MBのオンチップSRAMおよび、同じくECCを搭載したDDR3/LPDDR2コントローラやNANDフラッシュコントローラなどのほか、L2スイッチを備えたEthernetコントローラ、デュアル・ディスプレイ・コントローラなどを搭載している。さらに、ダブル・データ・レート機能および直接実行(XIP)機能を備えたデュアル・クアッドSPI、ハイスピードPHYを内蔵したデュアルUSB 2.0 OTG、パルス幅変調(PWM)、デュアル・アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)、デュアル・デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)などのリアルタイムI/Oサブシステムなどを搭載している。

加えて、OpenVG対応グラフィックス処理ユニット(GPU)や暗号化アルゴリズム・アクセラレーションおよび改ざん検知機能を備えたセキュア・ブートなども搭載している。

なお、Vybrid VFシリーズの最初のデバイスは、2012年第2四半期に特定顧客向けのアルファ・サンプル出荷を開始する予定で、一般向けのサンプル出荷や開発ツールの提供は2012年第3四半期に開始する予定となっている。