デンソー、豊田通商、セック、ヤマト運輸、セブン-イレブン・ジャパン、トヨタ生活協同組合は、次世代エネルギー及び次世代社会システムの構築に向け、商業施設においてエネルギーの最適利用を図ることを目的としたエネルギーマネジメントシステム(BEMS=Building Energy Management System)の開発のため、豊田市にて共同実証実験を行うことを発表した。期間は2012年4月から2014年12月までの予定。

BEMSは、エネルギー設備全体の省エネ監視・省エネ制御を自動化・一元化し、全体のエネルギー消費量を最適化するシステム。システム全体を制御するBEMSコントローラ、蓄電池、直流/交流変換や電圧変換を行う各種パワーコンディショナなどからなる。

今回の実証実験では、コンビニエンスストアやショッピングセンターを対象とし、BEMSコントローラーと蓄電池を核にして、電気をつくる太陽電池、太陽電池でつくられた電気や必要に応じて電力会社から供給される電気を熱に変換して貯めるヒートポンプ式給湯器、および車両用充電ポールを設置。店舗での時間帯別に、主にフライヤの洗浄などに使用するお湯使用量を、季節変動等のパターンから推定し、外気温が高く、太陽光発電電力も大きい昼間エネルギーを有効活用し、必要な時間に必要な湯量を確保する。

また、DCで稼動するヒートポンプを開発することにより、DC電力のまま直接ヒートポンプ式給湯器で活用することでエネルギー変換ロスを最小限にして高効率に湯沸しを行う。

そのほか、商用車(宅配便:保冷・冷凍庫付き)にも蓄電池を搭載し、商業施設や一般家庭での荷降ろし・集荷で停車中、及び信号待ち停車中等にアイドルストップしても保冷・冷凍庫の温度管理をできるようにする。商用車に搭載した蓄電池は、基地である配送センターでの充電に加え、立ち寄り先店舗での継ぎ足し充電を行う。これにより、蓄電池に求められる一充電当たりの容量を小さくでき、蓄電池の小型化が可能となるという。

そして、宅配便の車両を利用して、搭載する蓄電池の小型化による燃費向上効果・コスト低減の可能性を検証するほか、BEMS内の蓄電残量などをリアルタイムで監視する最適充電場所管理システムの実証も実施される。

今回の実験では、デンソーがコントローラ内蔵BEMSや商用車向け充電システムなどの開発を行い、豊田通商がBEMS連携太陽光発電システムおよび可搬型蓄電池活用システムを構築。セックは、エネルギーデータ収集・管理・配信システムなどを開発する。ヤマト運輸、セブン-イレブン、トヨタ生協がこれらの実証機器の設置場所を提供し、主に商業施設向けBEMSおよびヒートポンプ式給湯器と太陽光発電の連携システムにより、効率良いエネルギー利用の実証が行われる。