古河電気工業(古河電工)は3月30日、スーパーコンピュータ(スパコン)やデータセンター向けに10Gbps動作の面発光レーザー(VCSEL)を開発、世界最高レベルの高信頼性と低消費電力動作を達成したことを発表した。同成果の詳細は4月9日~13日に米国サンフランシスコにて開催される「MRS(Material Research Society)Spring Meeting」にて発表される予定。
10Gbps以上の高速動作可能なVCSELは、動作電流が端面発光型の従来の半導体レーザに比べ1/5~1/10と低いものの、高速性を確保するため単位面積当たりの電流(電流密度)が高くなるため信頼性確保が難しく、充分な個数や時間に基づく信頼性の検討がこれまでなされてこなかった。しかし、2020年にはExaFlopsのスパコンの実現が求められており、その際には、10Gbpsの伝送可能な素子が100万~500万個必要と試算されており、信頼性と低消費電力動作の確保が求められていた。
今回、同社では10Gbps動作可能な数千個レベルのVCSEL 素子について信頼性試験を行なうことで信頼度を算出した。この結果、30Fitの高速(10Gbps以上)のVCSELで従来比で最も高い信頼性が実証された。現在も信頼性試験結果を継続して実施しており、さらなる高信頼性が期待でき、高性能コンピュータで要求される1つの指標と考えられる10Fitsもほぼ達成したという。
また、同社では今回培った製造技術をベースに次世代用として期待されている25Gbpsで動作するVCSELの開発にも着手したことを明らかにしている。