日本には和傘職人や和紙照明職人、染職人など、伝統文化を受け継ぐ様々な匠が存在する。本企画は、そんな伝統的な世界でしのぎを削る若きクリエイターたちを13人連続で紹介していく。第3回は酒器職人の上原連、梨恵(今宵堂)を紹介する。インタビューの後半ではパソコンへのこだわりにも言及。"パソコンとは自然に側にあるものとして向き合いたい"と語る上原氏に、デルのUltrabook「XPS 13」はどのような印象を与えたのだろうか。

上原連、梨恵(今宵堂)プロフィール

今宵堂は、京都の小さな町家にて、夫婦ふたりで営んでいる職住一体の酒器工房です。 仕事から帰って、ひとり小酔の晩酌。気の合う仲間との楽騒なる酒宴。そして、大切な人とふたりきりで呑んで過ごす、ゆっくりとした時間。そういった暮らしの中にある「呑む、ひととき」のための器(徳利や盃、肴を盛るための小皿など)を制作しております。

仕事へのこだわり

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

上原連、梨恵(以下、上原)「二十代半ばまで、まったく違う業種の仕事をしていましたが、少しのお酒とささやかな酒肴で愉しむ"晩酌"という文化に興味を持ち、その道具である酒器作りをしたいと思いました」

――これまでで一番思い入れのある仕事は? その理由や思い出を教えてください。

上原「すべての仕事が、思い出深く心に残っています。飲食店の方と話し合いながらオリジナルの酒器を作らせていただいたり、大切なご結婚の引出物を作らせていただいたり……。使い手さんの顔が見える仕事がとても嬉しく感じます」

――自身の作品を制作するにあたっての一番のこだわりとはどのようなものでしょうか?

上原「お酒の呑み心地はもちろんのこと、それに付け加え、ちょっとしたユーモアや遊び心を器に込めていきたいと思っています。"呑む"というのはとても楽しいこと。難しく考えるのではなく、"軽妙洒脱"に仕事に取り組むことを心がけています」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

上原「私たちは、様々な場所の歴史や、酒・食文化に合わせて器を作る等、展示会ごとにコンセプトを変えながら、各地で企画展示をする活動を続けています。ですので、すべての都道府県で展示ができたら嬉しいですね。単純にいろんな土地の地酒や酒肴を愉しみたいのですが」

――愛用している道具や本、ものを教えてください。

上原「『超・居酒屋入門』(太田和彦著)です。各地の居酒屋を楽しむエッセイ。呑み喰いだけでなく、酒を背景にした"居る(過ごす)"ことに対する考え方は、日常生活の道具を作る私たちにとってとても参考になります」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

上原「アイデアは練ることもありますが、多くは酒呑みのお客さまとの会話の中で発見します。場所は工房であったり、酒場であったり、酒のあるところはどこでも」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

上原「"晩酌"です。さまざまな土地の地元の"日本酒"と"酒肴"を味わうことが、何よりの楽しみです。小さな日本にギュッと詰まった、美味しい地のものの豊かさにいつも驚かされます。 仕事と好きなことが暮らしの中でひとつになっているんです」

代表作品

白瓷ハート盃

タスト・シュ・ヴァン

DELL×日本の若き伝統職人13

デルがこのほど発売したUltrabook「XPS 13」は、スペックのみでなく表面のデザインが洗練されているなど、デジタル界の匠ともいえる非常にスタイリッシュな製品。日本の伝統文化を継承する若きクリエイターたちは同製品にどういった印象を持ったのであろう。

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――創作活動のどういった局面でパソコンを利用しますか?

上原「私たちの企画展示は、器だけでなく、DMや器に関する文章などを書いたパネルなど、総合的に自分たちで全て作ることによって世界観を演出したいと考えてます。ですので、IllustratorやPhotoshopなどは"演出"のために常用しています」

――仕事の上でパソコンがあって良かったと思ったエピソードもしくは今後の創作活動で活躍できそうなシーンを教えてください。

上原「私たちは暮らしの中の"呑む"器を作る工房ですので、様々な方の"晩酌風景"を見ることは、そのまま創作に結びつくと感じています。TwitterやfacebookなどのSNSで、色んな方の"晩酌"の姿を知ることができるパソコンは、コミュニケーションのためだけではなく、マーケティングツールでもあるのかもしれません。私たちも日々の晩酌をWebで公開しております

――自分の選ぶパソコンの基準(こだわり)を教えてください。

上原「パソコンとは、自然に側にあるものとして向き合いたいと考えます。ですので、そこにあって負担にならないような佇まいのデザイン、スペックのバランスを考えます」

――DELLから発売されたXPS13というUltrabookが出たのですが、日本の伝統を受け継ぐクリエイターからみて、この製品に対してどんな印象を持ちますか。

上原「ハードのデザインとして、モニター側の画面部分の比率が大きいことに驚きました。使う側が見るのはやはり"画面"。それを支えるアームの部分の面積が少ないことは、パソコンの世界と暮らしを少しでも近づけることにつながっていると思います」

――持ち運びに便利な薄型ノートXPS13を使用して、今後の仕事で活用してみたいシーンを教えてください。

上原「携帯性は、近距離でもとても有用だと思います。テーブルでの作業から、外に持ち運ぶというよりも、単に縁側やリビングのフロアに何気なく持っていくことのできる気軽さで"気持ちよく"パソコンを使うというシーンを想像します。カーボンの軽さもまた魅力的ですね」