日本には和傘職人や和紙照明職人、染職人など、伝統文化を受け継ぐ様々な匠が存在する。本企画は、そんな伝統的な世界でしのぎを削る若きクリエイターたちを13人連続で紹介していく。第2回は和傘職人の西堀耕太郎を紹介する。インタビューの後半ではパソコンへのこだわりにも言及。パソコン選びに対し、"携帯性と丈夫さ、筐体の外観デザイン"を重要視すると答えた西堀氏は、デルのUltrabook「XPS 13」にどのような印象を持っただろうか。

西堀耕太郎プロフィール

和歌山県新宮市出身。地元高校卒業後カナダへ留学。帰国後新宮市役所で通訳をするも、結婚後妻の実家「日吉屋」で京和傘の魅力に目覚め、脱・公務員。職人の道へ。2004年法人化と共に五代目就任。現在37歳。これまでに「Japan Shop Award」をはじめ、「グッドデザイン賞 中小企業庁長官賞」、「新日本様式100選」、「FORM#ドイツ デザイン賞」、「iF Product design award」などの各種デザイン賞を受賞している。

仕事へのこだわり

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

西堀耕太郎(以下、西堀)「24歳で結婚後、妻の実家に出入りしていてふと番傘を目にしたのが和傘との出会い。跡継ぎがおらず廃業を考えていると聞き、勿体無いと思ったのがきっかけ。しばらく公務員をしながら仕事を学ぶうち、和傘にはまだ可能性があると確信をもち、後を継ぐ決意をした」

――これまでで一番思い入れのある仕事は? その理由や思い出を教えてください。

西堀「照明『古都里』の開発。ブランドプロデューサーの島田昭彦氏の紹介で照明デザイナーの長根寛氏と出会い、兼ねてより構想していた和傘を照明器具に転化するという夢が実現した商品だから。この商品でグッドデザイン賞中小企業庁長官賞を受賞し、同時に海外展開を図るきっかけとなった。古都里は当初より海外展開を視野に入れ開発を進めていた。これを機に様々な業種の方々と交流するようになり、現在進行中のプロダクト、和傘構造のパーテーション『CASA』やファッションデザイナー桂由美さんのパリコレ出品作品『Wagasa Dress』等、分野を超えた商品開発が可能になった」

――自身の作品を制作するにあたっての一番のこだわりとはどのようなものでしょうか?

西堀「和傘に関しては既に完成された美や様式を損なうことなく伝統技術に則って製作すること。新商品に関しては古い概念を取り払い、新しい感性で新しい手法を生み出すことを心がけている。相反するようであるが、技術や様式を受け継ぐことと、新しい技術や様式を生み出し、それを普遍的なものに昇華することはとても似ていると思う。"伝統は革新の連続"を社訓として掲げているが、常に新しいものを作り出し、それがいつしか伝統になると思っている」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

西堀「弊社では異業種コラボ商品開発は既に規定路線となりつつあるので、逆に傘というものに立ち戻り、Design&Ecoをテーマに和傘でもなく洋傘でもない新しいカテゴリーの"第3の傘"とでも言うべく商品を生み出したい」

――愛用している道具や本、ものを教えてください。

西堀「18歳の時にカナダで買ったソルト&ペッパー入れ。デザインが気に入っています」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

西堀「いつでもどこでも。出張や打ち合わせで移動が多いので。いつも頭のどこかで面白いものは無いかな、と考えていると、ふとした時に思いついたりする」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

西堀「趣味は旅行。元々色んな国の人と話がしたいと思い留学したので。観光地巡りではなくアパートを借りて生活をして、実体験としてその土地を知りたいと思う。本は歴史関係のものを良く読む。司馬遼太郎さんはほぼ読破。食に関しては驚くほど無頓着。基本何でも美味しく食べられます。どこでも住めます」

代表作品

特選番傘

古都里-KOTORI-

DELL×日本の若き伝統職人13

デルがこのほど発売したUltrabook「XPS 13」は、スペックのみでなく表面のデザインが洗練されているなど、デジタル界の匠ともいえる非常にスタイリッシュな製品。日本の伝統文化を継承する若きクリエイターたちは同製品にどういった印象を持ったのであろう。

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――創作活動のどういった局面でパソコンを利用しますか?

西堀「新商品や特注商品のデザインのやりとりは画像必須なので必ずPCが必要です。弊社は工房にもPCを置いており、職人もPCを使っている。デザイン画をチェックしたり、クライアントとやりとりをしたりと伝統工芸だがIT無しには仕事は成り立たなくなっている」

――仕事の上でパソコンがあって良かったと思ったエピソードもしくは今後の創作活動で活躍できそうなシーンを教えてください。

西堀「和傘に関しても特注商品が多いので、レイアウトをまず作成し、それをクライアントに見せる必要がある。その際、画像のやりとりになるので製作に入るまではPCは必須。逆にPC無しに完結できる製品の方が少ないのが現状。PCがあって特に良かったと思うのは、海外からの注文を受けた時。特注商品でも画像やメールのやりとりで仕事が進み、ひどい時は一度も会わずして仕事が完結してしまうほど」

――自分の選ぶパソコンの基準(こだわり)を教えてください。

西堀「消耗品になりつつあるので、携帯性と丈夫さ。また、最近はクリエィティブなイメージで見られるので、筐体の外観デザインなど。そのほか、プレゼン用にHDM1出力が必須」

――DELLから発売されたXPS13というUltrabookが出たのですが、日本の伝統を受け継ぐクリエイターからみて、この製品に対してどんな印象を持ちますか。

西堀「出張先や展示会会場でクライアントに写真やプレゼン資料等を見せる機会が多いので、普通のノートに比べて起動が早く、軽量なのが良いですね」

――持ち運びに便利な薄型ノートXPS13を使用して、今後の仕事で活用してみたいシーンを教えてください。

西堀「様々な分野のデザイナーやクリエイターと、もっと様々なコミュニケーションを図って行きたいので、外出先でもすぐに画像や映像を見せる事でアイデアを膨らませていける、より創造的な仕事のシーンで使ってみたいですね」