Texas Instruments(TI)は3月27日、低消費電力のマルチコアDSP「TMS320C665x」3品種を発表した。

同製品は、固定小数点および浮動小数点演算機能を備えており、高性能なリアルタイム処理および低消費電力を21mm角の小型パッケージで実現。ミッション・クリティカル、産業用オートメーション、テスタ・計測、組込ビジョン、イメージング、ビデオ監視、医療用およびオーディオ/ビデオ用装置など、高性能かつポータブル用途向けに、効率よく適合すると同社では説明している。

3品種のうち、「C6657」は2個の1.25GHz DSPコアで構成され、最高80GMACS/40GFLOPSの演算性能を持つ。消費電力は3.5W。「C6655」と「C6654」はシングルコアで、演算性能はそれぞれ40GMACS/20GFLOPS、27.2GMACS/13.6GFLOPS。消費電力は2.5W、2W。また、3品種とも、大容量メモリおよび広帯域、高効率の外部メモリ コントローラを内蔵しており、ミッション・クリティカル、試験装置、画像処理、医療用およびオーディオ/ビデオ設備などの、低遅延を必要とする各種アプリケーションの製品開発向けに最適化されている。具体的には、ビデオ・セキュリティおよび交通監視など、ビデオ処理と画像処理の両方を必要とする各種アプリケーション。航空機や船舶に装備されるレーダー装置、無線機、ビデオ・画像処理、ポータブル超音波装置などのリアルタイムでの処理が求められるアプリケーションの小型・軽量化に寄与する。 動作温度範囲は-55℃~100℃で、屋外使用向けにも適している。

この他、同社のDSP「TMS320C64x」、TI KeyStone搭載のマルチコア プロセッサ製品との間でコード互換性があり、従来の同社DSP製品で開発された資産を利用できる。これにより、ローエンドからハイエンドまでの広がりがある高性能かつ幅広い製品ラインの設計を可能にした。また、RapidIO/PCIe/ギガビットEthernetをはじめとした広帯域インタフェース、処理を複数のDSPへ拡張する能力など、各種の画像処理アプリケーションにも対応する。「C665x」はUPP(汎用パラレルポート)およびMcBSP(マルチチャネル バッファード シリアルポート)をはじめとした最適な外部インタフェース群の組み合せは、システム・コストの削減およびサイズの縮小のほか、基板再設計の必要性を小さくし従来の設計からの移行を簡素化できる。

価格は「C6654」が10,000個受注時で30ドル未満となっている。3品種の開発向けに、EVM(評価モジュール)も供給している。参考価格は「TMDSEVM6657L」が349ドル、「TMDSEVM6657LE」が549ドル。両製品は無償のMCSDK(マルチコア ソフトウェア開発キット)、CCS(Code Composer Studio)IDE(統合開発環境)、アプリケーション/デモ・コードのスイートが含まれている。組み込みエミュレータは異なり、「TMDSEVM6657L」には「XDS100」が、「TMDSEVM6657LE」には「XDS100」より高速な「XDS560V2」が搭載されている。

TIの低消費電力のマルチコアDSP「TMS320C665x」