帝国データバンクは3月27日、BCP(事業継続計画)に関する企業の意識調査の結果を発表した。これによると、大企業の3割がBCPを策定済みだが、中小企業の策定率は8.6%にすぎないという。調査対象は、TDB 景気動向調査の登録企業の全国2万3,651社で、回答した企業は、1万713社。

東日本大震災により事業が中断・停滞した企業(事業中断・停滞理由としていずれかの選択肢 を選択した企業)は64.5%(6,911社)に上った。影響が大きかった理由として最も多かったのは「調達先の被災による、原材料・部品・資材・商品などの調達難」で、回答の30.2%(3,238社)。これに、「物流網の混乱」(21.9%/2,343社)が続いており、サプライチェーンが途絶えた影響を受けた企業も多かったようだ。

震災による事業の中断・停滞理由 資料:帝国データバンク

企業規模別で見ると、大企業では「計画停電・節電」「自社事業所の被災」の割合が中小企業に比べて高いのに対し、中小企業では「ガソリンなど燃料の不足」の割合が大企業に比べて高い。被災4県(岩手県、宮城県、福島県、茨城県)の企業の64.6%(497社中321社)が、事業中断理由としてこの項目を挙げており、同社は「燃料不足が被災現場で大きな問題になったことがわかった」としている。

震災による事業の中断・停滞理由(企業規模別) 資料:帝国データバンク

震災により事業が中断・停滞した企業に事業活動が震災前の水準にまで復旧するのに要した期間を聞いたところ、最も多かった回答は「1ヵ月超~3ヵ月以内」(28.3%/1,693社)だった。これに、「1週間超~1ヵ月以内」という回答26.9%(1,613社)が続く。

一方、6.5%(391社)の企業が、震災後1年を経ても「まだ完全に復旧に至っていない」と回答しており、被災4県では9.2%(42社)の企業がまだ完全復旧に至っていないという。

事業中断リスクに対する備えについて聞いたところ、上から、「従業員の緊急連絡網(安否確認手段)の整備」(4,133社)、「調達先の複数化」(2,853社)、「情報システムの複数化」(2,541 社)という回答が得られた。

同社は、この結果について、「従業員の緊急連絡網の整備は比較的着手しやすい項目であるとともに、非常時における従業員の安否確認と相互連絡の重要性が認識されていると考えられる。大企業を中心に、システムの運用継続性に対する問題意識も高まっている」とコメントしている。

BCP(事業継続計画)の策定動向について聞いたところ、1万713社から回答が得られた。「BCP を策定している」と回答した企業の割合は10.4%(1,116社)、「BCPを知っているが、策定していない」企業は50.8%(5,446社)だった。両回答を合わせたBCPの認知率は、震災後1年を経て61.2%に達したが、「策定に至る企業はまだ少数にとどまる」としている。

企業規模別では、大企業におけるBCP策定率は30.9%(276社)と3割を超えているが、中小企業の策定率は8.6%(840社)だった。