トレンドマイクロは3月26日、企業向け戦略記者発表会を開催。その中で、取締役副社長の大三川彰彦氏は、日本市場の2014年における受注ベース売り上げを2011年比で25%増の650億円以上、2016年には同50%増の780億円以上にしたいと語った。
大三川氏が今後注力していくと語った分野は、エンタープライズのソリューションビジネス。これは、これまでのように、単に製品を提供するだけでなく、企業の環境調査や課題発見、それに対する適切な対策の提案、監視・診断等も含めて提供しようというもの。
同社では、昨年の8月に社内に、セールス、SE、マーケテイング、サポート等の各部隊が一体になった組織「ソリューション事業本部」を立ち上げ、企業の個別の課題解決に当たっている。ソリューションビジネスは、この事業本部が中心になって進めていくという。
また、企業からソリューションを受注することにより、1件あたりの受注金額を大きくすることも可能になるという。大三川氏は、「これまでのサポートサービスは、600万円くらいがMAXだったが、最近では数千万円の案件が次々入って来ている」と語る。
同時に、パートナー企業が売りやすい商材開発と環境を整備して、サービス型ビジネスも強化。エコシステムの強化も図る。企業の個別対応はソリューション、汎用的な部分はサービスでカバーしていこうという戦略だ。
特に注力するのは、昨年から被害報告が多数あがっている標的型攻撃に対応するサイバー攻撃対策分野、BYODが注目されているモバイル分野、仮想も含めたクラウド分野、そしてセキュリティインテリジェンスセンターの4つだ。
同社では、すでに世界中の脅威情報の収集、ソリューションを提供する「TrendLabs(トレンドラボ)」に加え、各地域に潜伏する脅威を積極的に収集するとともに、地域特有の攻撃等への迅速な対応を図るために「リージョナルトレンドラボ」を持っているが、セキュリティインテリジェンスセンターは、被害拡大の予兆の察知・警告を提供することが大きな違いとなる。
クラウドについては、最近、物理・仮想・クラウドの混在環境が増えており、これらに対したシームレスなセキュリティを提供するという。また、VDIの案件も増えているという。
大三川氏は、「これまでバーチャリゼーションは欧米が先行していたが、昨年あたりからその波が日本にもやってきており、仮想化クラウドへの意識が高まっている。そういった中で、これまでのセキュリティ商材を提供するビジネスモデルから、ソリューションビジネスにシフトしていく」と説明する。
また、代表取締役社長 兼 CEO エバ・チェン氏は、「我々はクラウドセキュリティのNO.1を目指しており、そここそが我々の成長領域だと考えている。現在、弊社独自のアーキテクチャであるSmart Protection Networkにより、着実にクラウドセキュリティの売り上げを伸ばしている。我々の優位性は、21年にわたる実績と、セキュリティだけにフォーカスを絞っているため、一番手でソリューションを提供できる点だ」と述べた。
そしてエバ・チェン氏は、Cloud(物理・仮想・クラウド環境における脅威からの保護)、Consumerization(個人所有にかかわらず多様なデバイスを可視化・管理)、Control over Risk(リスクに対する情報資産の保護)という「3つのC」に注力するとした。
そのほか、大三川氏は今後のロードマップも発表し、今年の第2Q(カレンダベース)には、定額制のSSLのサーバ証明書を発行するソリューションのほか、ファイルの動的解析を行う監視サービスを、第3Qには、データ暗号化やモバイルSaaSのソリューションを新たに提供することを明らかにした。