2012年4月18日から20日にかけて半導体関連の国際学会「COOL Chips XV」が開催される。会場は例年通り、横浜の情報文化センターである。日本で開催されるVLSI関係の国際学会としてはハワイと京都で1年交替で開催される「VLSI Circuit Symposium」とこのCOOL Chipsが主要なものであり、国内で国際学会に参加する数少ない機会である。
Advanced ProgramがCOOL ChipsのWebサイトに公開されている(リンク先:pdf)が、今年の招待講演では、IBMのGeorge Chiu氏のBlue Gene/Qに関する講演と富士通の安島氏による京スパコンのTofuインタコネクトの講演が行われる。Chiu氏は、Blue Gene/Pの時に東京大学での講演を聞いたが、分かり易い説明で質問にも丁寧に答えてくれており、今回も期待できる講演である。また、安島氏は6次元メッシュトーラスという独創的なTofuインタコネクトのチーフアーキテクトであり、これも期待できる講演である。
そして、基調講演4では、イリノイ大学のWen-mei Hwu教授が"Application Scalability - Key to Low Power, Performance Growth、and Exascale"と題する講演を行う。 Hwu教授はGPUコンピューティングの世界的権威であり、Exascaleコンピューティングにむけての興味深い洞察が聴けるのではないかと期待される。
今回のCool Chips XVのトリは、"Seahawk - Optimizing power efficiency in high performance Cortex-A15 processor implementations"と題するARMのDermot O'Driscoll氏とSumit Sahai氏の講演である。次世代のARMコアであるCortex-A15のエネルギー効率の最適化に関する講演であり、これも興味深い。
論文発表のセッションとしては、対象の認識に関するセッション、3D実装に関するセッシン、パワーゲートと回路のセッションとプロセサのセッションが行われ、合計で9編の論文が発表される。
また、"Technology exchange: Supercomputing and Embedded computing"と題するパネルディスカッションが行われる。低電力で高い処理性能を実現するという点で、スパコンと組み込みシステムは共通点が増えており、両者でどのように技術を交流していくかという時宜を得た話題であると思う。
なお、COOL Chipsの参加費は、会場の近くのホテルで行われる4月19日の夕方のバンケットの費用を含めて、情報処理学会や電子情報通信学の会員、あるいはIEEEやACMの会員は5万円であるが、4月4日までのEarly Registration期間に参加申し込みをすると割引で4万円になる。