凸版印刷は、同社の持つバーチャルリアリティ(VR)エンジン「トッパンVR」を活用し、平面に描かれた絵画を三次元空間として鑑賞できるシステム『ViewPaint(ビューペイント)』を開発したと発表した。
同システムでは、絵画のデジタルアーカイブデータを基に、作者特有のタッチを活かしながら、当時の博物資料や研究資料を考証した上でモチーフの色や形を再現。さらに透視図法の読み解きやCGシミュレーションに基づき、空間を3DCGで構築する。これをモニターに表示する際に、人体認識センサーで鑑賞者の視点を認識し、鑑賞者から見える状態をリアルタイムに生成するため、絵画の中を三次元空間として見ることができる、という仕組みだ。
鑑賞者の動きを検知し、視点に合わせた表示を生成する |
今回はその第一弾として、フェルメールの作品「牛乳を注ぐ女」を3DCG化。フェルメールのタッチはそのままに、作品に描かれた空間が完全に3Dで再現されているため、額縁越しの空間をのぞき込むようにインタラクティブな鑑賞ができる。立っている女性の背中を見ることも技術的には可能だ(展示の際の設定による)。
同作品はアジアデジタルアート大賞エンターテインメント(産業応用)部門優秀賞を受賞。福岡アジア美術館(福岡市博多区)で開催中の「2011アジアデジタルアート大賞展」で初公開されている。展示は3月27日まで。