ノエビアグループの常盤薬品工業は3月21日、大豆イソフラボンに美白作用があることを見出しそのメカニズムを明らかにしたと発表した。同成果は、2012年3月22日~26日にかけて開催される「日本農芸化学会2012年度大会」にて発表される予定。
大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た作用があり、女性の不安定な体調緩和や健康維持に働いていることが分かってきた。また化粧品の有効成分としても注目されており、これまでノエビアグループでも大豆イソフラボンの皮膚細胞に対する有効作用の研究が行われてきていた。
今回の研究では、これまで詳細が明らかにされていなかった大豆イソフラボンの美白作用について、ヒトの皮膚に構造が類似した人工皮膚モデル(三次元皮膚モデル)を用いて確認し、遺伝子解析からその美白作用のメカニズムを明らかした。
具体的には、イソフラボン類として「ダイゼイン」、「ゲニステイン」、「ダイジン」、「ゲニスチン」の4種類について、メラニン生成細胞(メラノサイト)を含む三次元皮膚モデル(LabCyte MELANO-MODEL:ジャパンティッシュエンジニアリング)を15日間培養してメラノサイトの黒化への影響評価ならびにメラニン生成細胞内で起こる遺伝子発現変化をReal-time PCR法を用いて評価した。
メラニンの生成を促進する重要な酵素として、チロシナーゼと並び「DCT(dopachrometautomerase:ドーパクロムトートメラーゼ。メラニン生成に関わる酵素)」があるが、評価の結果、ゲニステインおよびゲニスチンに美白作用があることが確認された。
また、美白作用のメカニズムを明らかにするためメラノサイトの遺伝子発現変化を調べた結果、ゲニステインにはメラニン生成において重要とされるEDNRB(エンドセリンレセプター。メラニン生成に関わる受容体)、PAX3(メラノサイトの核内に存在し、メラニン生成に関わる因子)、DCTの各遺伝子発現を抑制することが判明した。
なお、ノエビアグループでは、近年の美白スキンケア化粧品には、チロシナーゼを抑制する有効成分を配合したものが多くあるが、今後はこれらに加えてDCTを抑制する素材を配合することにより、従来のスキンケア化粧品よりも高い効果につながることが期待できるようになるとしている。