富士キメラ総研は3月19日、2011年11月から2012年1月にかけて実施し、クラウドコンピューティングのICT基盤市場に関する予測と展望を発表した。同調査は、クラウド基盤ソリューション(2品目)、クラウド基盤サービス(2品目)、基盤SaaS(8品目)、関連製品からハードウェア(10品目)・ソフトウェア(5品目)、ネットワークサービス(4品目)を対象としている。
同社によると、同市場はタブレット端末、サーバ、ストレージ、ルータ/スイッチといった関連製品(特にハードウェア)が牽引し、14年度には1兆円を突破、15年度には1兆1,593億円に拡大するという。
クラウド基盤ソリューションの10年度の市場規模は3,023億円だったのに対し、15年度の予測は10年度比220%の6,650億円と予測されている。同社は、現状は一部の先進的企業で複数の仮想化システムを統合して自動化する例も見られるが、大部分の企業は情報系サーバやファイルサーバなど限定したクラウドシステムを個別に手動で運用して統合環境を構築する段階にとどまっている。ただし、震災後にクラウド環境に対する期待が高まったため、今後は一気にクラウド環境構築を検討する企業が増加すると予測している。
クラウド基盤サービスの10年度の市場規模は1,102億円だったのに対し、15年度の予測は10年度比274.2%の3,022億円と予測されている。PaaS/IaaS市場は複数ユーザー向け共有型サービスの認知度とサービス信頼性が向上していることから引き続き高い成長できるとして、10年度の120億円から、15年度には5.2倍の620億円に成長すると予測されている。
DaaSはデスクトップPCの運用・管理体制を一新する必要があり長期利用コストが自社所有型より高くなるため伸び悩んでいるが、提供事業者が増加してサービスの認知度が向上し、大手通信事業者による大規模な自社導入や数千~万単位の大規模案件が見られたため、11年度は前年度比12.5倍の30億円と大幅な拡大が見込まれるという。