富士通と名古屋大学は3月19日、電話の会話を分析することで、過信状態(相手の説明内容に対する考察能力の低下)に気付いていない状態を自動検出する技術の開発に成功したと発表した。
これまで、通話相手からの好ましくない情報によって過信状態になっている状況を検出するため、音声認識でその状況に特有なキーワードが会話に含まれていることを検出する技術が用いられてきた。しかし、心理的抑圧を受けている場合は発声が不明瞭になることがあるため、キーワードの検出のみでは検出精度が不十分だった。こうした状況を踏まえ、両者は声の高さと大きさの変化を検出することで過信状態らしさを推定する技術開発した。
今回開発した技術を用いた振り込め詐欺を誘引する通話の検出実験において、90%以上の精度で過信状態を検出できた。同検出処理では、過信状態らしさの推定とその時の状況を示す特徴的なキーワードの検出を行い、これらの結果の統合により振り込め詐欺誘引通話の検出を行う。警察大学校より提供を受けたキーワードリストや実際の振り込め詐欺誘引通話の録音データを用いて、技術の動作確認も行っている。
両者は今後、今回の振り込め詐欺誘引通話技術を搭載した携帯電話などを用い、警察大学校や名古屋銀行とも協力して実証実験を進め、さまざまな振り込め詐欺の事例に対する実用性の確認と課題の抽出・解決を図る。