ルネサス エレクトロニクスは3月19日、ワールドワイドのデジタルテレビジョン放送とインターネットによるコンテンツ配信を同時にサポート可能なハイブリッドセットトップボックス(STB)のハイエンド機器向けSoC(システムLSI)「R-Home S1」を製品化したことを発表した。同製品は、映像や音声のデジタル信号のデコード(伸張)機能など、デジタル放送やインターネット放送受信に必要な機能を1チップ上に集積したもの。

デュアルコアの「ARM Cortex-A9 MPCore」搭載により、5000DMIPS(1GHz動作時)のCPU性能を実現している。同社従来品の約8倍に高性能化すると共に、直感的な操作が可能な高品位な3D GUI(Graphical User Interface)を実現するために3Dグラフィックスコアとして、英Imagination Technologiesの「PowerVRTM SGX531」エンジンを新規搭載した。これにより、高機能Webブラウザなど様々な高負荷アプリケーションを高速に処理できる。

また、録画用、モバイル端末向け配信用にHD(High Definition)解像度対応の映像フォーマット変換器(トランスコーダ)を搭載している。入力映像をMPEG-2、MPEG-4、H.263のフォーマットに変換できるため、VideoPhoneアプリケーションやモバイル端末へのコンテンツ配信機能の対応が可能となる。

ハイブリッド向けSTB用半導体として、40nmプロセスの採用や端子数の最適化を実施するなどにより、27mm×27mmの小型パッケージを実現している。デュアルコアなどの採用により高性能ながら低消費電力を実現しており、高性能ハイブリッドSTBの小型化や基板コスト、システムコストの低減と低消費電力化が実現可できる。

また、著作権保護の重要性の認識から、有料放送の不正受信防止機能として、世界の主要なセキュリティベンダの最新仕様に対応している。これにより、有料放送業者は高度なセキュリティレベルを持つSTBの開発を容易にする。この他、1G/100MHz EtherMAC、PCI Express、SDIOインタフェースなどを搭載し、高速インターネット対応や外付けデバイスによるWi-Fi対応が容易となっている。

サンプル価格は 3,000円/個で、2012年5月よりサンプル出荷を開始する。量産開始は2012年12月を予定し、2013年6月には 月産100万個を計画している。また、既存製品との継承性を考慮したシステム開発サポートツール(SDK)を提供する。

なお同製品は、当社の統合SoCプラットフォームによるホームマルチメディア向けシリーズである「R-Home」シリーズの第一弾製品であり、今後も第2世代品をリリースし、市場ニーズに最適化した製品をタイムリーに市場投入していく方針。

同社では、新製品をワールドワイドで積極的に拡販活動を進める予定であり、特に欧州衛星市場、中国ケーブル市場で、ハイブリッド STBの需要拡大が見込まれているため、これらの市場に向けて、同製品の販売を推進する。

ハイブリッドSTB向けSoC「R-Home S1」の製品写真