SAS Institute Japanは3月15日、統合マーケティング・マネジメントを実現する主要な製品として、マーケティング業務の統合的な管理と最適化を可能にする「SAS Marketing Operations Management」を、国内の一部ユーザーに先行して提供を開始すると発表した。一般提供は2012年第3四半期を予定している。
ビジネス開発本部長の須部恒氏は初めに、「統合マーケティング・マネジメント」について説明を行った。同氏は調査会社であるガートナーの「統合マーケティング・マネジメントに基づく戦略を有する企業は持たない企業に比べ、マーケティングROIにおいて50%以上の差をつけるだろう」というコメントを例に、統合マーケティング・マネジメントの重要性を説いた。
「『マーケティングに関するプロセスとテクノロジーの統合によるワンメッセージによるブランド強化』『伝統的なマーケティングとデジタルマーケティングを組み合わせることによる営業戦略と合致したブランドロイヤリティの確保』といった現在のマーケティングに求められている姿を実現するには、統合マーケティング・マネジメントが不可欠」と同氏。
同社では統合マーケティング・マネジメントを「Information Management」「Analytics」「Marketing」「Customer Experience」という4つの分野に分けて考えている。「Information Managementは情報の収集・統合を行う基盤となり、Customer Experienceは顧客の接点となって、ロイヤリティを育成していく」(須部氏)
「SAS Marketing Operations Management」については、ビジネス開発本部 CIグループ部長の高橋昌樹氏が説明を行った。同氏は、「消費者同士のコミュニケーションが増えて発言力が高まるなど、企業から消費者へパワーシフトが起こっているなか、新たなマーケティングを行う必要がある」として、同社がこれまで提供してきた顧客管理・マーケティング分析スイート「SAS Customer Intelligence」においてカバーしていなかった「オペレーション管理」を同製品で実現するとした。
同製品では、企業の戦略・目標を業務フローや施策コンテンツといった現場の情報と紐づけて体系的に管理することで、目標の達成と効率のよい業務オペレーションを支援することを目的としている。主要機能としては、「KPI/予算管理」「キャンペーン情報・スケジュール管理」「ワークフロー管理」「リソース管理」「コンテンツ管理」がある。
「SAS Marketing Operations Management」はオンプレミスではなく、SaaSとして提供される。そのため、短期間で利用を開始することが可能であり、最短で10日間程度で使えるようになるという。課金はユーザー単位で行われる。
もともと「SAS Marketing Operations Management」は同社が2011年に買収したマーケティング・リソース管理製品ベンダーの米Assetlinkの製品。今回初めて、同社の顧客管理・マーケティング分析スイート「SAS Customer Intelligence」に組み込んだ形でリリースされた。グローバルでは、Assetlink時代から引き続き「SAS Marketing Operations Management」を利用している顧客企業がいる。
高橋氏はこうした顧客による導入効果として、代理店のコンテンツ管理を廃止したことでマーケティングコストを7%削減した企業、ブランド間で重複していたマーケティング費用を20万ドルした企業を挙げた。