Seoul Semiconductor(ソウル半導体)の日本法人であるジャパンソウル半導体は3月7日、都内で会見を開き、同社ビジネスの概況の説明を行った。
同社の設立は1992年。韓国の安山に5つのファブを有しており、LEDの製造、販売を一貫して行ってきた。約1万件の特許を取得もしくは申請中であり、売り上げの10%を研究開発に投資することで、競争力のある特許技術の開発を推進しており、欧州や韓国の自動車や一般照明、パリのエッフェル塔のライトアップ用LEDなどへ採用されている。
同社はLEDのチップやモジュールのほか、LED照明そのものも提供しており、「Acrich」ブランドとして展開している。パッケージとしては従来型では2ワイヤを採用していたが、1ワイヤ化を進めており、現在、青色ダイオードの開発で知られる中村修二氏とNon Polarタイプの開発を進めている段階としている。Non Polarタイプは、従来型に比べ、lm/Wあたりで効率を40~70%向上することが可能で、現在は順調に開発が進んでおり2012年末にはサンプル出荷を開始できる見込みとするほか、2014年には量産出荷にまで持っていきたいとしている。
また、同社ではLEDチップとモジュールをセット化した「Acrich 2」の製品展開も進めている。現在、4/8/12/16W品を用意しており、8W品で40Wバルブ相当の500lmを実現しているが、ロードマップとしては半年から1年で各製品ともに10%ずつ輝度を向上させていく方針を示す。このAcrich 2の特長は電源系まで含めてトータルで回路設計を行っていることから、アルミ電解コンデンサなどの外部部品を不要化でき、長寿命化を図ることができる点。独自設計の制御用ICは、各LEDを個別に制御することで、サイン波に近い出力を実現することが可能だ。ただし、「コンデンサを含まないため、どうしてもゼロ点が発生してしまう。日本のカスタマからの要求では、そこの改良が求められており、タンタルコンデンサやセラミックコンデンサを追加することで、こうした課題の解決を図っている」と日本のカスタマからの要求に対応することを目指した改良を進めてるとした。
同社の日本での売り上げの伸びは、2011年は東日本が東日本大震災の影響による節電意識の高まりなどで一般家庭のLED照明化が進むなどの影響により前年比60%増の成長となったが、2012年は関西電力の電力不足問題などの影響により、西日本でのLED照明化が進むとの読みを示すほか、直管タイプやシーリングタイプのLED照明の伸びも期待できることから、前年と同等の約60%の成長を見込んでいる。